ヒットの真相

家庭用ロボット/「感情」多彩に、背景に「癒しブーム」


 「鉄腕アトム」や「ドラえもん」の世界に、現実世界が近づきつつある。ソニーの「アイボ」やトミーの「ファービー」など、人工知能を内蔵し、意思を持つ家庭用ロボットが相次いで市販され、空前のブームとなっている。

 アイボは、人とのコミュニケーションの中で学習し、性格を形成する犬型ロボット。喜怒哀楽の感情をしぐさや音、光で表し、自らの判断で行動する。

 25万円の高価格にもかかわらず、昨年6月の限定発売では3千体が20分で完売。11月の第2期販売でも、生産数1万体に13万5000件の申し込みがあった。詐欺や偽物の販売など、過熱する人気は社会問題にもなった。現在は、25日までの期間限定で申込者全員を対象に第3期発売を実施中だ。

 これに先立ち、日本で火付け役となったのがファービーだ。開発は米タイガー社。架空の動物をモチーフにしたぬいぐるみで、世話するうちに「おなかがすいた」など800〜1000通りの言葉で意思表示する。トミーが昨年5月に日本語版を発売、200万個を売り上げた。

 玩具メーカーの参入で市場は好調だ。なかでも、セガトイズが4月に販売する「プーチ」は、同じ犬型ながらリアルな親近感を提示するアイボとは一線を画し、玩具の愛らしさを純粋に追求した。2980円の低価格も売りだ。

 ヒットの背景には、「たまごっち」や「ポケットモンスター」といった育成ゲームの定着と、昨今の「癒しブーム」がある。セガトイズが「コミュニケーショングッズに興味を示す20代女性層を中心にマーケティングを展開」(同社販促資料)するとしているように、ほめれば喜び、放っておくとすねるという生き物に似たファジー(あいまい)さは「心の癒し」を求める現代人にマッチする。

 「ロボットペット」などの表現でくくられがちだが、「生き物の代替品ではなく、あくまで玩具の延長線、エンターテインメントロボットという位置付け」(ソニー・アイボPR事務局)だ。