幻の強豪 大阪朝高サッカー部
インターハイ出場テーマに、なぜ 幻 なのかを追求
日本の中学生の作文、群馬県で優秀賞に
昨夏、大阪朝鮮高級学校サッカー部が全国総合体育大会(高校総体=インターハイ)初出場を果たし、同胞社会に一大旋風を巻き起こしたのはまだ記憶に新しい。あれから半年。その「風」は意外な所にも吹いていた。全国中学生人権作文コンテスト群馬県大会(主催=前橋地方法務局、群馬県人権擁護委員連合会)で優秀賞を受賞した藤岡市立小野中学校1年、小林祥太君の作文のタイトルは「『幻の強豪』大阪朝鮮高校サッカー部」。「幻の強豪」と報じられたことから疑問を持ち、調べ、朝鮮学校が正規の学校と認められないのはおかしいと、素朴かつ鋭い視点から訴えている。作文は群馬のブロック紙に全文掲載されて群馬同胞の間でも大きな話題になっており、群馬朝鮮初中生が感想の手紙を出すなど、新たな交流も芽生えつつある。小林君、そして作文を読んだ金洪周・大阪朝高サッカー部元主将の感想を紹介する。
(作文全文)
感じたままを書いた、おなじ「学校」なのに差別おかしい
作文を書いた小林祥太君(藤岡私立小野中1年)の話
人権作文コンテストに出すための作文は、夏休みの宿題だった。何にしようか考えていた頃、ふと新聞記事が目に留まった。それまで、日本に朝鮮の学校があることを知らなかったが、記事には、朝鮮高校は伝統的に強くて昔は強豪の帝京にも勝ったことがあると書いてあって驚いた。
そこで、兄や父に色々聞いたり調べてみた。朝鮮学校が「学校」でない
なんて、おかしいと思った。同じ高校生なのに全国大会へも出られなかったなんて、理解できなかった。
もともと作文は苦手だ。でも、本当に感じたことをそのまま書いたので、1週間くらいかかったけど意外とすらすら書けた。自分でも、それなりにうまくできたのではと思った。
担任の先生や校長先生にも褒められ、学校の代表に入り、市、県と上がっていき、新聞にまで載った。とてもうれしいけど、こんなことになって驚いている。
少し前、群馬の朝鮮学校の中2全員から手紙が来た。みんなとても感激したと書いていた。喜んでくれて本当にうれしい。まだ返事を書いていないので早く書かなきゃと思っている。
一緒に「壁」こわしていこう
大阪朝高サッカー部 金洪周元主将
朝高が学校として取り扱われないのがおかしいと、普通の日本の中学1年生の目で純粋に思うんだから、やっぱり僕たちの主張が正しいんだ、差別されている今の状態の方が間違っているんだと再確認した。それも、行ったこともない遠い群馬の中学生だなんて、僕たちが昨夏、インターハイに出たことは、単にそれだけに止まらない本当に色々な意味があったんだなと改めて誇らしく思う。
とくに、僕たちよりもっと強かったのに大会に出られなかった先輩たちの悔しい思いも伝わったのかと思うと、これで先輩たちも少しは浮かばれるかもしれない。小林君の作文で、「今までの熱い思いが、この一方的な攻めに表れているように僕は思います」という部分があったけど、まさにその通りだ。
今回のことは本当にうれしい。小林君が今後、この作文に書いた気持ちを忘れずこれを機にもっと視野を広げ、僕たちの間にある見えない「壁」をどんどん壊していってほしいと思う。もちろん僕も、4月からは京都の大学に進学するけど、その「壁」をなくしていくために一緒に頑張りたい。部活のバスケもがんばってほしい。機会があれば1度会いたいです。