「個人信用情報機関」とは?
多重債務を未然に防止、金融会社などが情報を交換
「個人信用情報機関」というのをご存じだろうか。これは、クレジットカードやローンカードを発行する銀行やクレジット会社、消費者金融会社などが、返済能力を超えた多額の貸し出しを防ぐため、個人の信用情報を交換し合う専門機関である。利用者にとっても、多重債務による借金地獄や、見ず知らずの企業や団体からダイレクトメールが届くといった個人情報の漏えいによるトラブルを未然に避けることができる。
後払いのクレジットやローンが可能なのは「約束どおりに返済するルールを守れる」という信用が利用者にあるからだ。したがって、プリペイドカードなどと異なり、誰でも持てるわけではなく、一定の審査を経て発行される。
各社では、(1)CHARACTER(人格) (2)CAPACITY(支払い能力) (3)CAPITAL(資産)またはCOLLATERAL(担保) (4)CONTROL(自己管理能力)という4つの「C」――をもとに、個人の信用状態を調査する。だが、他社での状況が確認できないと、その人が借り入れている総額や、正しく返済しているかをつかめない。
個人信用情報機関の会員になることで、各社は企業の枠を超えて、クレジットやローンを利用する人の信用情報を得ることができ、その人に合うように貸出額をコントロールできる。
現在あるのは、金融機関などが属する全国銀行個人信用情報センター、信販会社などが属するシー・アイ・シー、消費者金融会社が属する日本情報センター、外資系の消費者金融会社などが属するセントラル・コミュニケーション・ビューローの4つ。前述の3機関は、それぞれの会員同士が情報を共有できる「CRIN」(クリン)というシステムを設けている。
個人信用情報機関は、会員である企業の照会を受け、氏名や住所、取引内容などの情報を提示。会員はこれをもとに、貸し付けを行うかどうかを判断する。消費者が抱くプライバシー侵害への懸念を解消するため、個人情報が登録、利用されることについて本人の同意を得ることや、申し出があれば情報開示に応じること、個人情報の悪用を防ぐ十分な安全対策を講じることなどをうたっている。