朝鮮料理に秘められた効用(5)/ダイエット


陰から陽へ体質改善を/新陳代謝を促す食材

断食は逆効果

 これまで朝鮮料理の様々な効用について見てきたが、最後に朝鮮料理とダイエットについて述べる。

 ダイエットとは、英語の「食餌(しょくじ)」という意味で、食餌療法、美容食の意味で使うようになったのは最近のことだ。

 そのため食事をいかに減らすかということがダイエットだと考えている人が多いが、基本的な間違いだ。

 断食は生理学的にはダイエットに逆効果。体は断食に対抗するため肥るホルモンを分泌するので、断食後は反動で過食になり、かえって肥ってしまう。

 肥満とは栄養を体の中に溜め、体脂肪が多すぎること。体脂肪を減らしダイエットするためには新陳代謝をよくする必要がある。

 朝鮮料理の食材には、この体脂肪を燃焼させ新陳代謝を促す効用がある。たとえばキムチに使われる唐辛子の辛味の元のカプサイシンという成分には、血液の循環を促進する働きがあり体脂肪を燃焼させる。

体を温める

 食事制限をしても痩せないという人には体質に問題がある。われわれの体質には2つある。漢方医学でいう陰と陽の体質だ。

 陰の体質は、易しくいうと新陳代謝が悪くて摂取したエネルギーを体内に溜め込んでしまう。こういう体質の人はいくら食事制限をしても痩せない。

 陽の体質の人は新陳代謝が良く、体をよく動かし、汗もよくかく。こういう人は新陳代謝がいいから食事制限するとすぐに痩せる。

 だから陰の体質の人はカロリー制限ではなく、陽の体質に変えて新陳代謝を良くすることが大事だ。

 ダイエットのためには食事と運動が基本になる。

 運動で大切なことは、余分な体脂肪を減少させる、ゆっくりと長く続ける有酸素運動をすることだ。

 しかし大事なのは食事だ。五味五性で触れたように、体を温める温と熱の食べ物を食べて体質を陽に変え、新陳代謝をよくしなければならない。

 何々ダイエット法と、巷にはダイエット法が溢れているが、その方法にこだわるのではなく、まず自分の体質が陽か陰なのかを正しく知り、肥る体質を変えることが何よりも大事である。そのためにはどんな食事をするかである。

唐辛子の効用

 キムチをはじめ朝鮮料理がダイエットによいというのは、新陳代謝を促し体を温めるニンニクや唐辛子などの食材を豊富に使うからだ。大根やネギ、白菜も体を温める。朝鮮料理には温の食材が圧倒的に多い。

 朝鮮料理に欠かせないヤンニョムだけみても唐辛子やごま、ニンニクなどをたっぷり使う。朝鮮料理の中で、さらに体を温めるものを選んで食べれば体質が陽になり新陳代謝がよくなり、適度なカロリー制限で十分に痩せるはずだ。医食同源、薬膳そのものである朝鮮料理は、美味しいだけでなく現代人の健康維持のためにも大変有効である。

 わたしたちはこの素晴らしい食文化を先祖から代々受け継いできたのである。在日同胞の2、3、4、5世がもっともっと朝鮮料理を愛し、子供たちにも伝えて欲しい。  (おわり)