みんなの健康Q&A/花粉症(1)
西新井病院薬剤科 夫奉孝課長
I型アレルギー反応による炎症性疾患/神経や血管を刺激し、発症
Q 花粉症になる人とならない人がいますが。
A 花粉は空気中を飛んでいるのですから、誰も同じように花粉を吸っていることになります。花粉症になる人は俗にいう「アレルギー体質」の人です。花粉症はT型アレルギー反応による炎症性疾患です。
Q 花粉症になる原因は。
A 花粉症になるのは、原因となる花粉(抗原)を吸い込んで体内にIgE抗体という抗体を作る体質の人に限られています。この抗体ができなければ、いくら花粉が鼻や目の粘膜に付着しても、そこで抗原抗体反応が起きず、花粉症の症状は現れません。
Q どのように反応するのですか。
A 元来、人間の体は、体の外から入ってくる異物(花粉)に反応して抗体を作り出す機能を持っています。遺伝的にアレルギー素因(この遺伝子の存在はまだ実証されていません)のない人たちの体内に異物が入ってきてもIgE抗体を作りません。
しかしアレルギー素因のある人たちの体は、異物が入ってくるとIgE抗体を作り出してしまうのです(図1、2)。のIgE抗体が、鼻や粘膜など花粉が入ってきた部位に集まり、そこで肥満細胞という特殊な細胞の表面に付着します。
また血液の流れに乗って他の部位に行くIgE抗体もあり、これもやはり肥満細胞に付着します(図3)。
こうして全身の肥満細胞にまんべんなくIgE抗体が付着していきます。それがある程度のレベルに達した段階で、IgE抗体を作る原因となった花粉が再び入ってくると、その部位にアレルギー反応が起こるのです(抗原抗体反応は体に都合よく働く場合は免疫といいます。反応が起こる仕組みは同じですが、病気に打ち勝つ能力が生まれます。予防接種は免疫の働きを利用した予防法のひとつ)。
粘膜から染み込んできた花粉の抗原を肥満細胞に付いているIgE抗体がキャッチします。続いて肥満抗体から脱顆粒を起こしヒスタミンやロイコトリエンなどを含む顆粒が放出されます(図4)。
これらは化学伝達物質(ケミカルメディエーター)と言われ、これらが神経や血管を刺激し、花粉症の様々な症状が引き起こされるメカニズムとなっています(図5)。
Q どのような症状を引き起こすのですか。
A ヒスタミンを例にとると、鼻の粘膜では、ヒスタミンは近くにある神経を刺激して、かゆみやくしゃみを引き起こします。また三叉神経を刺激すると鼻水がたくさん出るようになります。
さらにヒスタミンが血管に働くと血管の透過性が高まりむくみが起こってきます。むくみが起こると、鼻は周囲を硬い骨で囲まれているために、その内腔が狭くなって鼻づまりの症状が出てきます。(東京都足立区西新井本町5―7―14、TEL 03・3840・7111〈代表〉)