ヒットの真相/半導体メモリー
超小型の次世代記憶媒体
CDやMD、DVD、MOといった光磁気ディスクに代わる次世代デジタル記憶メディアとして、最近とみに注目を集めているのが、半導体メモリーカードだ。元祖と言われるコンパクトフラッシュが1995年に発表されて以来、様々な規格が登場し、標準化へのし烈な「覇権争い」が繰り広げられている。
代表的なものは、コンパクトフラッシュと、日本でトップシェアのスマートメディア、切手大と最小を誇るマルチメディアカード、ソニーのメモリースティックの4種。松下電器、東芝、米サンディスク社が共同開発したSDメモリーカードも、年内発表を控えている。
半導体メモリーの最大の特長は、既存の記憶メディアをはるかに凌ぐ小型・大容量化が容易であること。用途の8割を占めるデジタルカメラや、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル通信端末には、早くから採用されてきた。
昨今のブームの要因は、MP3などのデータ圧縮技術を用いたデジタル音楽の普及が大きい。MDを上回る携帯プレイヤーの小型化が可能で、モーター駆動のMDに付き物の音飛びも発生しない点に目を付けたパソコン周辺機器メーカーが、半導体メモリーを用いたMP3プレイヤーをこぞって発表。マスコミで取り上げられ、話題を集めた。三星電子など南朝鮮の半導体企業が積極的に携わっているのも特徴だ。
ただ、一般家庭への本格的な普及には、もう少し時間が掛かりそうだ。
記憶容量やサイズで若干の差別化が図られてはいるものの、使い勝手に大差はなく、種類が多い割に機能の違いが見えにくい。したがって、どれが買いなのか、バロメーターとなる材料が乏しい。カードの単価も1枚3000円から1万円前後と安くはない。
現状は、デジカメなど一般家庭への浸透度の割に知名度は今1つというところ。複数の規格が出揃ったうえで、多くが淘汰されていくと見られる。