在日朝鮮人の20世紀H

新世代が築く21世紀の同胞社会


民族性を守り、自覚を促す

 1955年8月1日に結成された在日本朝鮮青年同盟(朝青)は、同胞青年と高級学校以上の学生を幅広く網羅する団体。民族性の固守、同胞青年の生活実利の追求、未来の開拓といったキーワードを掲げ、同胞社会の未来を担う青年の育成に努めてきた。

 朝青では、日本の中学・高校に通う同胞学生が民族への誇りを持てるよう、日校生の学生会を各地で組織している。日校生が参加する毎年恒例のサマースクールは、多くの学生が友人を得るとともに朝鮮人としての自覚を培う貴重な場となっている。また、母国語を習得する場として、青年学校や土曜児童教室を各地に設けている。

 朝鮮学校卒業生に国立大学受験資格を認める問題など、同胞の教育権に関わる諸問題にも力を入れ、署名運動など要請活動を積極的に展開している。

 祖国統一実現に向けた北・南・海外の三者連帯を強める活動も幅広く展開。72年7月4日に北南共同声明が調印された際には、韓国青年同盟と共同で在日同胞青年学生中央大会を開き、8700人が参加した。8・15記念行事などにも多くの代表を送っている。

日本の大学に通う同胞も網羅

 在日本朝鮮留学生同盟(留学同)は、45年9月14日に結成され、日本の大学、大学院、専門学校で学ぶ同胞学生が、民族の誇りを培ううえで大きな役割を果たしている。

 留学同では、民族の言葉や歴史を学ぶ文化研究を本部・支部ごとに行っているほか、夏には「サマーセミナー」を開いている。セミナーでは、全国から集まった同胞学生が、朝鮮人として生きるうえでの疑問や悩みをぶつけあい、民族の誇りを持って生きることを再確認する貴重な体験の場となっている。群馬・尾瀬で開かれた今年のセミナーには250余人が参加、「祖国」や「統一」をキーワードに熱い議論を交わした。

 また、朝青とも多彩なイベントを催し、交流を図っている。

 朝鮮大学校との共催で毎年12月に朝大キャンパスで行われる学科別研究討論会は、今年で45回目を数える。各地の留学同本部・支部から学生が論文を携えて参加し、その発表や意見交換、そしてイベントを通じて交流を行っている。昨年からは、母国語の技能を高めることを目的に、朝鮮語スピーチ大会も催されている。

青年商工人の力を結集――青商会

 在日本朝鮮人青年商工会(青商会)は、95年9月に結成された、20代、30代の青年商工人を結集した最も若い在日商工団体である。

 青年商工人による組織の結成は、世代交代が進むなか、青年商工人が同胞の商工活動の未来を担おうと60〜70年代に火が付いた、「若き商工人協議会」の活動が発端になった。85年には東京、88年には兵庫で、中央大会・フォーラムが開かれた。この「若き商工人協議会」の役割を高めた独自の青年商工団体結成へ機運が高まり、青商会の結成に至った。

 青商会は、新時代の経済人である青年商工人を主体に、商工活動を通じて祖国と同胞社会の発展に寄与することを目標に掲げている。現在、全国31の都道府県組織と81の地域組織を持ち、商工人間の交流の場としての機能も果たしている。

 96年からは、全国規模のイベントとして、各都道府県青商会の主催で「ウリ民族フォーラム」を開催。今年は名古屋で「統一朝鮮とコリアンネットワークの潜在力」をテーマに、450人が参加して催された。

「コリアンネットワーク」の構築へ

 3、4世の同胞青年たちをつなげる新たなネットワークも、徐々に構築へ動き始めている。

 朝青が今年8月に旗揚げした、「コリアン・ユース・ネットワーク」(KYN)は、朝青が現在、力を注いでいる運動の1つだ。

 KYNは、同胞青年の生活サポートを通じて、21世紀に向けて力強い同胞社会を築いていこうとの目的で立ち上げられた。朝青員にメンバーシップカードを発行し、同胞と日本の協賛企業・店舗で割引や特典のサービスを受けられる。全国規模のネットワークは従来になかった新たな試みだ。

 ホームページなどを通じて朝青員同士のコミュニケーションも図りながら、人材の発掘・育成の役割も担う。朝青ではKYN事業を将来の朝青活動の大きな柱と位置付け、力を注いでいる。若き世代の同胞へ、期待は大きい。

 植民地支配、祖国の解放と分断、在日朝鮮人の発生と権利獲得へのたたかい、やがて来る祖国統一への確信――。在日同胞は、まさに激動の20世紀を見送り、21世紀を迎える。やってくる世紀の同胞社会を担い、支えていく主役は、新時代の「若きコリアンパワー」に違いない。(柳成根記者=おわり)

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