浮島丸事件が映画に

朝鮮芸術映画撮影所

爆破シーンでCG、エキストラ1万人


 朝鮮芸術映画撮影所では、「浮島丸事件」を素材にした「生きる霊魂たち」を制作した。1945年8月の解放直後、強制労働から自由の身となり帰国を急ぐ在日同胞を乗せた船が爆発、沈没し、549人が犠牲になった「浮島丸事件」。昨年1月に制作が決まって7月にクランクイン。10月にはほぼ撮影が終わった。

 日本軍による計画的な犯行説が濃厚なものの、いまだにすべての真相が明らかではないこの事件の真相に少しでも迫ろうと、制作陣は資料収集に奔走した。また爆破による沈没シーンには4000トンクラスの船舶と1万余人のエキストラが動員され、CG技術が駆使された。そのため、朝鮮コンピュータセンターと金日成総合大学、金策工業総合大学、朝鮮芸術映画撮影所コンピュータ室、5・18映画研究所が技術協力し、通常の3〜4倍の制作費が投じられた。

 演出のキム・チュンソン氏(44)は「反日感情をあおるために作ったのではない。ただリアルに事実を伝えたかった。映画を通じ、北と南、海外のすべての同胞が、民族受難の過去を記憶に止める一助になればと思う。また日本の人にも見てもらい、こうした歴史が繰り返されることのないよう思いを馳せるきっかけになれば何よりだ」と語る。

  ●ストーリー●祖国解放の喜びに沸く在日朝鮮人が日本当局に帰国実現を要求する。彼らのほとんどは強制連行、強制労働の被害者。日本当局は帰国船として海軍の輸送船「浮島丸」を用意するが、そこには口封じのため朝鮮人を集団的に抹殺しようとの意図が潜む。8月22日夜、数千人の朝鮮人を乗せた「浮島丸」が釜山に向け出港。乗客のなかには、過酷な日本帝国主義支配に苦しめられた人々がたくさんいた。彼らの受難のエピソードが語られるなか、船は釜山ではなく舞鶴に進路を変更。24日午後5時20分、激しい爆音と共に「浮島丸」は爆発し、懐かしい祖国を見ることなく命を落とすことになった乗客の悲鳴、絶叫のなか、沈没していく。 【平壌支局】 

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