春・夏・秋・冬 |
年の終わりに向かって進む時計の針は、同時に世紀の終わりへの時を刻み続けている。あと1週間で21世紀。多くの人々にとって、新世紀を迎えるのは初めてのことだ
▼過去をかみしめながら、来年に思いをはせている人もいるだろう。忘年会の席で友人たちと酒を酌み交わしながら、今年のビックニュースのトップに「6・15(北南共同宣言)」をあげている人もいるだろう。そして思いは当然、民族史にも及んでいるはずだ ▼今世紀は植民地、分断、戦争の世紀だった。混とんの内にたゆまず生き、そして亡くなった人々…。現代史家・エリック・ホブズボームは、20世紀の世界史は戦争と暴力の「極端な時代」であったと評したが、それは朝鮮にもそのままあてはまる ▼しかし、状況は一変した。平和、自主統一を盛り込んだ共同宣言以後、それまで途絶えていた北南間の交流が様々な難問を抱えながらも着実に進んでいる。21世紀は、北南朝鮮が統一国家をつくり、世界史に新しく登場する時代になるだろうことを信じて疑わない ▼来世紀、国際政治の主舞台は「中国、朝鮮半島をはじめとした東アジア」(田中明彦・東大教授)というのが大方の予想だ。また、権力政治が突出しがちな北東アジアにおいて文化的、経済的交流の枠組を作ろうという主張もある ▼情勢変化に一喜一憂せず、頑張っていくためには何を心掛けなければならないか。埼玉朝鮮初中級学校初級部の習字の時間に娘(2年)が書いた字は「きぼう」。朝鮮と同胞社会、家族の未来に、何とか希望を持ち続けたい。(舜) |