来春の第2回平壌国際見本市
経済交流促進のステップに
日本側窓口 東ア貿易研
企業に参加呼びかけ/大型代表団も派遣へ
平壌で来年5月、各種機器・製品を一堂に集めた2回目の国際見本市が開かれるのに伴い、日朝経済交流の日本側窓口である民間団体、東アジア貿易研究会(東貿研、東京都港区)が大型の経済交流代表団の派遣準備に取り掛かっている。正式募集前とあって、具体的な行動計画はまだ定まっていないが、現段階ではおおむね前向きな姿勢を見せているという。見本市と代表団の概要、日朝経済交流の現状を見た。 情勢好転、良い環境 見本市の正式名称は「平壌国際見本市2001」で、来年5月7〜10日の4日間の日程で開かれる。主催団体は、日朝経済交流の朝鮮側窓口である朝鮮国際貿易促進委員会と、傘下の朝鮮国際展覧社だ。 平壌での見本市開催は、今年5月8〜10日の平壌国際商品展覧会に続いて2回目。今年の展覧会には、朝鮮をはじめ、中国、キューバ、ロシア、タイ、オーストラリア、英国、日本など10ヵ国・地域から関連企業が参加し、機械設備、電子機器、化学・医薬品、軽工業製品、食料品など様々なジャンルの商品が展示された。 朝鮮国際展覧社は7月、朝鮮国際貿易促進委員会を通じて、経済交流促進の観点から、来年の見本市への日本企業の参加を日本側に要請。これを受けて、20年の日朝経済交流の実績を持つ東貿研が窓口となって、広く参加を呼び掛けることになった。 東貿研の澤池忍理事長は、北南首脳会談の実現や相次ぐ朝鮮の首脳外交など、朝鮮半島情勢が好転している情勢を受け、日本の企業も、この流れに乗って経済交流を積極的に図るべきだと強調する。 東貿研によると、見本市と経済交流代表団への参加企業は、商社や建設、鉄鋼、機械などインフラ整備関連企業が主になる見込み。また、見本市への出品対象は、とくに電子、農業、軽工業の分野が中心になるようだ。 澤池理事長は、朝鮮は、国内経済を正常軌道に乗せるために貿易を本格的に再開したが、実際にはインフラ整備など多くの問題があり、まさに今、民間級の貿易経済交流が望まれているところだと語る。 実際、多くの企業が朝鮮というマーケットへの関心を持っているのは事実だという。 「朝鮮が経済を再建するには、いろいろな設備が必要になってくる。また朝鮮には、豊富な地下資源や、中国・ロシアと陸続きで、鉄道輸送をフル活用できる地理的メリットもある。日本企業はビジネスチャンスと見て、自社製品をどんどん投入すべきでしょう」 その一方で、実際に取引をするとなると、日朝間に国交がないことによる不便や、貿易保険制度がないなどネックも少なくない。 これについては「国交さえ結ばれれば、貿易保険という2国間問題もおのずと解決へ向かう。民間レベルはもちろん、政治レベルでも朝鮮へのアプローチが必要」(澤池理事長)だろう。 東貿研では、最終的にどれほどの企業が参加を表明するかは未知数としながらも、日朝経済交流促進の突破口として、見本市と経済交流代表団に大きな期待を寄せている。(柳成根記者) 朝鮮と日本の貿易は、かつては中国・大連や香港など第3国経由だったが、1961年から直接貿易が始まった。朝・日輸出入商社(東京・上野)所有の年度別貿易統計(出所は大蔵省貿易統計)も、61年からの統計である。 統計を見ると、72年から85年にかけて大きな伸びを見せている。対日輸出入額の合計が、71年の約206億円から、翌年に約406億円と倍増。80年には約1259億円と過去最高を記録した。朝鮮の貿易代表部的役割を担う朝・日輸出入商社が設立されたのが72年。また、この年に「日朝議員連盟が発足し、民間経済交流の機会が増えたのも一因」(同社)だという。 その後、86年以降は大体、500〜600億円規模で推移。昨年度は約391億円だった。輸出入バランスも、輸入に対して輸出が多い傾向が87年以降、続いている。 主要取引品目(今年9月現在)を見ると、対日輸出品ではスーツなどの男性用既製服が最も多く、以下、アサリやマツタケなどの農水産物、電子部品、マグネシアクリンカーなどの鉱物などとなっている。 一方、輸入品は毛織物や乗用車・貨物車、重油などが多い。 |