民族性守る在日の誇り胸に
金剛山歌劇団 ソウル初公演
【ソウル発=文聖姫、琴基徹記者】今年で結成45年目を迎えた金剛山歌劇団のソウル公演。市内のリトルエンジェルス芸術会館で15〜17日の3日間、昼、夜各2回の計4回行われ、延べ6000人が観覧した。日本で生まれ育った在日2、3、4世が誇らしく歌い、踊る姿に、会場からは惜しみない拍手と喝采(かっさい)が送られた。歌劇団一行は18日午前、空路帰途についた。
高い芸術性に惜しみない拍手 公演1部は歌と踊りのアンサンブル。 2部は、季節ごとに移り変わる金剛山の美しさを歌と踊りで表現した音楽舞踊組曲「金剛山の四季」。九八年から南の人々を対象にした金剛山観光が実現したが、「いながらにして金剛山の美しさを満喫できた」と話す人もいた。 ◇ ◇ 公演は、異国の地で一貫して民族教育を実施し、民族の文化と伝統を守ってきた在日同胞の生き様を示す良い機会となった。 「異国の地で民族性を守ることは難しいと思う。しかし、総聯は民族学校を設立、維持し、民族教育を行ってきた。だから、今日のような公演ができる人材を育てられたのだろう」(ソウル大美学科教授の金文煥氏) ◇ ◇ 南の芸術分野の専門家たちも多く観覧した。 その1人、舞踊評論家の朴公雨氏は、作品の素材と音楽、すべてが調和が取れていると指摘しながら、「バレエに民族性を取り入れた舞踊。古典と現代感覚が見事にマッチしていた」と感嘆していた。 ソラボル国樂団団長の洪成徳氏は、「舞踊の旋律が美しい。チャンゴの舞に大きな感激を受けた」という。同芸術団企画室長の朴チョンゴン氏は、舞台の演出に非常に興味を持ったという。「金剛山から天女が降りるシーンなど、最初はスクリーンで写し出されたものだと思った。私たちの劇団でもぜひ参考にしたい」と、舞台の演出について熱心に説明をもとめていた。 古典「春香伝」をテーマにした舞踊「芙蓉堂の春」は、主人公たちがぜんまい仕掛けの人形という設定で、本物かと見まがうほどのコミカルな動きに、会場は大きな笑いに包まれた。また、統一の日を見ることなく逝った1世の思いをつづった「願い」を、男性歌手の李栄守が情感込めて披露すると、客席のあちこちに涙ぐむ人の姿が見られた。 ◇ ◇ 世界的なファッションデザイナー、李英姫氏は、「平壌学生少年芸術団、平壌サーカス団のソウル公演など、文化交流は統一に大きく貢献すると思う。交流を繰り返すことが重要だ」と語った。 北南首脳会談時に金大中大統領に同行した、民主平和統一諮問会議首席副議長の金ムナ氏も、南北両首脳の決断で6・15共同宣言が発表された点を強調しながら、今回の公演が和解と交流に貢献することは間違いないと指摘した。 4回の公演とも、フィナーレでは客席と舞台が一体となって、手に手をとり「われらの願い」を歌った。今回の公演が「統一への1つの足跡」(金首席副議長)になったことは間違いない。 |