春・夏・秋・冬

 1905年11月17日、日本は軍を出動させて「韓日協約」を強要し、朝鮮から外交権を奪った。こうして朝鮮の20世紀は日本の植民地支配から始まった

▼英国人女性旅行作家イザベラ・バード(1831〜1904)は1894年から3年余、四度にわたり朝鮮を訪れ、清日戦争、甲午農民戦争、閔妃暗殺など、国際情勢に翻ろうされる李朝末期の不穏な政情や伝統的風土・民俗・文化などを忠実に綴った紀行文をまとめた(日本語訳「朝鮮紀行」講談社学術文庫)

▼そこで彼女は次のように指摘している。「…他の外国の支配を許さない、実効ある保護権を確立する。日本の路線で朝鮮を改革する。朝鮮半島に古くからつづいてきた東洋的伝統主義に代え、日本独自の自由で教化された文明を導入する。こういったことが以前数世紀にわたってあった計画をいくぶん修正し、この40年間着実に視野におかれた目標だった」。と、同時に列強の進出によって、朝鮮におけるイギリスの影響力が弱まりつつある状況についても指摘した

▼歴史とは皮肉なもので、かつて朝鮮に進出したか、日本の朝鮮支配を黙認した欧米諸国が1世紀が過ぎようとしているこの時期に次々と朝鮮と外交関係を結んでいる。例えば、インド支配を承認する引き換えに、日本の朝鮮保護国化を承認したイギリス。そして、米国も関係改善へと向かいつつある

▼日本はどうか。「韓国併合は日本民族の同化力と日本文明の包容力が試された」(大阪毎日新聞・1909年10月の社説から)。その文脈はいまも生きている。(舜)

日本語版TOPページ