日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷

北南共同起訴状  (抄訳−)


  10、日本政府は、日本軍性奴隷犯罪に対して、十分な国家賠償を行わなければならない。

 加害者が被害者に賠償することは、公認された国際法的要求であり、国際的実務の実践である。

 日本政府は、加害国として軍「慰安婦」が被った精神的肉体的被害に対して国家的賠償を行わなければならない。

 しかし、いままで日本政府は、賠償の責任を回避してきた。

 日本政府は、被害国家と締結した双務条約によって、個別的被害者に対する賠償問題も解決されたとして、賠償責任を否定している。

 戦後、日本と被害国との間で結ばれた双務条約などでも、日本の被害国家に対する賠償問題が不十分なりに論議されたが、軍「慰安婦」被害者に対する賠償問題は、当時の日本政府の事実隠ぺい策動のために、論議すら行われなかった。

 とくに日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対して終始一貫した敵視政策を実施しながら戦後、半世紀が過ぎても過去に対するいっさいの清算を行っていない。

 日本政府は、軍性奴隷行為に対する国際的な圧力と被害生存者の抗議の声が高まると、「アジア女性のための国民基金」という民間基金を設置して、民間人からかき集めた慈善金を生存している「慰安婦」に配る方法で、国家的責任を逃れようとしている。

 日本政府の行為で悪質なのは、「恩給法」「補償法」などで自国民被害者、ひいては戦没者遺族にまで補償を行っていながら、朝鮮女性をはじめとするすべての日本軍性奴隷被害者には、びた一文の賠償も行っていないことである。

 日本は、加害国として朝鮮女性をはじめとする日本軍性奴隷生活を強要されたアジア・太平洋地域のすべての被害者の精神・肉体的被害に対して十分な国家賠償を行わなければならない。

  11、日本政府は、日本でたびたび起きる性奴隷被害者への名誉毀損行為について責任を感じ、その根絶のための徹底した処置を講じなければならない。

 朝鮮の女性は、青春時代に日本軍性奴隷として性暴力を受けた肉体的苦痛もしかりだが、羞恥心、侮辱心から来る精神的苦痛によって、不遇な境遇のなかで一生を送っており、家族や親戚との再会も断念し、異国や他郷で孤独に生活している。

 日本の右翼政治家は、このことを深く反省し、被害者に心からの謝罪をするどころか、売春婦だ、金儲けのために商行為をしたなどと、道理に合わない発言を連発して被害者の尊厳と名誉を侵害、侮辱している。

 日本政府は、こうした発言を繰り返す者を厳格に処罰し、2度とこのような発言や行為が起きないよう、国家的、法律的処置を講じなければならない。

 12、日本政府は、すべての性奴隷犠牲者の遺骨を本国に返還し、他国で暮らす被害者たちを祖国に帰国させるべきだ。犠牲者の遺骨を戦後、本国に返還することは、戦時人道主義法の根本的な要求だ。

 日本軍性奴隷として連行された数十万人の朝鮮女性の多くは、日本軍の野蛮な性暴力と殺人、日本軍が敗戦時に行った集団的な殺害行為によって半世紀以上の間、遠い異国の地で無縁仏のまま葬られている。

 生き残った女性たちも、帰国できたのは一部で、その他の多くは自分の受けた性奴隷生活に対する羞恥心と、不遇な身の上を悲観したあまり、帰国を断念して現地に残ることになった。また、一部の女性は、敗戦当時、日本軍が現地に置き去りにして帰国できなかった。

 現在、本人らの呼びかけと調査資料により、中国、カンボジア、日本、サハリンなど、様々な国と地域に、帰国できなかった被害者がいることが判明している。

 日本政府は、現地調査を行い、被害者の数を把握してすでに犠牲になった女性の遺骨調査確認事業も責任をもって行うべきだ。

 同時に日本政府は生存被害者の意思を汲み取り、帰国、あるいは故郷訪問のための処置を一切の条件を付さずに実施するべきだ。また、すでに犠牲になったすべての「慰安婦」の遺骨を探し出し、彼らの故郷や家族、親戚らが住む所に安置するための処置を無条件で講じるべきだ。

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