山で元気
黒岳
(1587メートル、大分県)
帰路道に迷うが、何とか下山
結成2年目の佐賀県多久市朝・日親善登山クラブは、今年最後の登山場所を大分県の黒岳に決めた。当日の11月20日は朝から大雨。明け方5時に起き、メンバーを待っている間も雨は容赦なく降りつける。6時少し前に全員が到着した。男性5人、女性4人の総勢9人。バスは佐賀大和インターから雨の高速道路を1時間ばかり走って九重インターを降り、10分ほどで九酔渓谷にさしかかった。 それから30分、九州横断道路を突き抜け、目的地の黒岳登山口(男池・おいけ)に着く。山全体が原生林に覆われ、黒々としてまだ伐採植林の手が及ばぬ黒岳は、九州で唯一残された自然豊かな秘境の山だ。男池に着いた時には雨も上がり、うっすらと太陽が東の空に見え始めた。 最初は山はやめ、星生温泉でも入ろうということになったが、そこは山男・山女の集団。温泉に入る前に、軽く汗を流すため低い山に入ろうということで、枚の戸口(1330メートル)から目の前の黒岩山(1503メートル、片道40分)に登ることにした。 雨風が強く、霧まで発生していたので、みな雨具に着替え歩き始めた。昼飯は帰ってからということで、リュックはバスの中に。男性1人、女性2人を除く6人が黒岩山の頂上に登った。 帰りは頂上付近で残してきた女性2人と合流し、8人で下山を始めたが、霧と風の強さで道が分からなくなった。一瞬、背筋に恐怖が走った。とりあえず引き返し、霧が晴れるまで待とうということに。昼飯を食べておらず、リュックもないので自身不安になったが、顔は平静を装う。決断を迫られた私は、「人が通っている道だから、この道を降りれば何とかなる」と50メートルばかり降りた。すると、2秒ほどで霧が薄れ、枚の戸口に止めていたマイクロバスが見えた。 「この道を下れば下山できる」と大声で言うと、みんなから「ハイ」という元気な返事が帰ってきた。 バスの中でみんなは、「山をなめたらあかん」と口々に語っていた。 温泉に入り昼飯を食べ、ビールを飲み、なごやかな雰囲気で朝・日親善の輪を広げた。色々あった日帰り登山だったが、みな元気に家路に着いた。(佐賀県多久市朝・日親善登山クラブ・沈成達) |