日本軍性奴隷制裁く「女性国際法廷」

連行の過程、国家責任
項目別に日本を追及

北南朝鮮、共同起訴状


 日本軍性奴隷(「従軍慰安婦」)制問題を裁く「女性国際戦犯法廷」が8〜12日、加害国日本の首都東京の九段会館・日本青年館で行われた。20世紀が終わろうとする時に、市民の力で国際法を犯した日本政府の国家責任を裁き、被害者の尊厳を回復することが目的だ。会場には、北南、海外の朝鮮人被害者約30人を含むアジア各国の性奴隷被害者約70人が出席したのをはじめ、約2000人の参加者で埋め尽くされた。北南朝鮮は共同起訴状を作成し、日本政府を厳しく追及した。

「青春踏みにじった」被害者も怒りの証言

 法廷は首席検事の起訴状朗読から始まった。

 「『慰安所』は慰安の場所ではなかった。被害者たちの体は生きていたが、心は死んでいた」「被害者の苦しみや痛みを共有し、どこに罪があったのかを見て、法的な判断を下すことが正義を実現していく道」

 旧ユーゴ・ルワンダ国際戦犯法廷の顧問を務めたセラーズ首席検事(米国)は、日本政府の責任を裁き、性奴隷犯罪を根絶することに法廷の意義があると強調した。

 法廷初日の8日は、北南朝鮮の共同検事団による共同起訴状の発表、朝鮮人被害者の証言が行われた。

 北側の「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従太委)、南側の韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)のメンバーらが見守る中、起訴状が読み上げられた。北南共同検事団は、「慰安婦」制度が作られた社会・歴史的背景、強制連行の過程、日本政府の国家責任、生存者の精神的被害など、項目別に問題を整理し報告、日本政府を厳しく断罪した。

 また、法廷では北南、海外の朝鮮人被害者の証言が行われ、本人が直接もしくは映像で犯行を詳細に語った。12歳の時に連行され、性奴隷生活を強いられた金英淑さん(73、平安南道在住)は、壇上で証言。「花のような青春を踏みにじった日本政府は謝罪し、補償しろ」と怒りを込めて語った。ナイフで刺された傷跡や、タバコの焼跡が映像で流された。

 共同起訴状では、当時日本陸海軍の総司令官だった昭和天皇をはじめ、東条英機・元首相、板垣征四郎・元陸軍大臣ら8人が訴追された。

 日本政府の国家責任について報告した鄭南用検事(法学博士、「従太委」委員)は、国際法違反の事実を列挙しながら、日本政府が国家的、法的責任を認め@謝罪A賠償B関連者の処罰C妄言など被害者の名誉き損行為を根絶する徹底処置D被害者の遺骨の本国送還と他国に住む被害者たちの帰国実現E歴史教科書などによる教育の強化――などの実行を求めた。

民族的課題、今後もたたかう

 共同起訴状発表後、北南の検事団は同日、会場で共同記者会見し、謝罪と補償を拒否し続ける日本政府の責任を厳しく追及した。

 検事団メンバーの洪善玉・「従太委」委員長は、「朝鮮を不法に占領したにもかかわらず、謝罪と補償をしない日本政府の責任は大きい。すべての被害者女性の心情を反映し、共にたたかう」と強調。共同起訴状の作成が「いまだに解決されていない過去の清算問題に、南北が共同で対処する重要な契機になる」と意義を強調した。

 南側の金允玉・「挺対協」共同代表は、91年から平壌、ソウルで開かれた北南朝鮮、日本の女性によるシンポジウム「アジアの平和と女性の役割」の過程で、北側と「慰安婦」問題の解決に取り組んできただけに、共同起訴状という形で民間の運動が実を結んだことが「感無量」と語った。

 また共同検事団は、朝・日国交正常化などの過程を通じて問題が解決されるよう、「今後も続けて運動をしていく」(金共同代表)意思を表明した。

 代表らは、日本軍性奴隷問題に関して双方の主張に差がないことから、今春3月に共同起訴状の作成に合意、7月にマニラで行われた検事会議から実質的な協議に取りかかった。東京で合流した後も、夜を徹して起訴状の詰めに力を注いだ。

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