朝鮮舞踊の歴史綴る/舞踊組曲「歳月」
新しい文化の創造へ
日本全国の愛好家300人
24日から来年3月まで大阪、愛知、東京を巡回
朝鮮舞踊の歴史を綴る舞踊組曲「歳月」が、24日の大阪を皮切りに、来年の3月まで愛知、東京の3ヵ所で上演される。各地の舞踊愛好家300人が出演し、高句麗、高麗、李朝、現代における朝鮮舞踊の代表的な17の作品を披露する。民族舞踊のルーツを見つめることで、多くの同胞の民族心を育むことが目的。また、日本で南の伝統舞踊を広めている在日の舞踊家もゲスト出演し、在日同胞の和解と団結をはかる。(張慧純記者)
公演は、一般の同胞舞踊愛好家たちで作られる在日本朝鮮文学芸術家同盟の各支部(東京、神奈川、西東京、東海、京都、大阪、兵庫、福岡)の舞踊部メンバーが出演、公演実行委員会が主催する。全国のメンバーが一堂に集い、出演するのは今回が初めて。 文芸同舞踊部では、96年から朝鮮の専門講師を招いて各地で講習を開いていく過程で各々の支部が強化され、全国的なネットワークを強めていた。2年前の支部舞踊部長会議で、新しい世紀を迎えるにふさわしいイベント開催を討議した結果、朝鮮舞踊のルーツを見つめる内容の公演を開催しようと、意見一致をみ、今公演にこぎつけた。 公演には、各地のメンバーをはじめ、朝鮮学校の児童、生徒ら総勢332人が出演する。準備は1年以上前から進められ、各地では広告の募集や券の販売に余念がない。トップバッターの大阪では、他の民族団体や同胞児童、生徒が多く通う日本学校を対象にした広報活動も行ってきた。 現在、各地では24日の大阪公演に向けた練習が集中的に行われており、3日には近畿3支部による合同練習が開かれた。 公演の脚本・演出を担当する玄佳宏・文芸同中央舞踊部長は、「今回披露される作品は、在日同胞の文化的な財産になる。公演が終わった後も、教育現場をはじめ、幅広い同胞に愛され、民族心を育む一助となれば」と話す。 高句麗、李朝、現代… 舞踊組曲「歳月」では、高句麗から高麗、李朝、現代と、各時代ごとの代表作を上演し、朝鮮舞踊の歴史とルーツを振り返る。 高句麗・高麗時代の作品は、「袖の舞」「朝天舞」「牙拍の舞」、李朝時代の作品は「カンガンスウォルレ」「タルチュム(仮面舞)」「チェパンウルの舞」「サルプリ」「僧舞」「スルチマの舞」「剣舞」など。 現代の作品は、植民地支配時の朝鮮民族の痛みと苦しみを表現した「涙のアリラン」や、解放後に朝鮮で創作され、現在も親しまれている「春のおとずれ」、「手鼓の踊り」などの傑作を厳選した。17の演目のうち、8つが新作で初公開となる。 新作の創作には、朝鮮におけるトップクラスの舞踊家、音楽家が携わった。朝鮮では80年代に入り、各地の民俗舞踊を発掘する作業が本格的に始まったという。その研究成果に基づき、約1年にかけて舞踊と音楽が仕上げられた。 白い袖の衣装をまとって踊る「袖の舞」は、高句麗古墳壁画の舞踊塚に描かれている女性の姿から当時の踊りを想定し、創作したという。高麗時代の「朝天舞」は、12世紀末に朝鮮の北部地方で踊られ、このたび咸鏡南道で発掘、整理されたものを基本にした。16世紀の豊臣秀吉の朝鮮侵略時に、国を守る朝鮮南海岸の女性たちを描いた「カンガンスウォルレ」、黄海道に伝えられる鳳山タルノリ(仮面遊び)から創作した「タルチュム」など、みごたえある作品が満載だ。 これらの作品は今年の5月、文芸同のメンバーが訪朝し、履修。その後、全国の出演者に伝習された。 公演の日程 大阪 12月24日(日) 開演
午後1時半、5時 大阪国際交流センター大ホール(近鉄上本町駅) 問い合わせрO6・6323・1564 |