取材ノート
昇竜への道
中国は近年、着実に経済力をつけてきたが、その影響力は周辺国をはじめ、諸外国にも及ぼうとしている。
たとえば、北に国境を接するモンゴルにとって、中国は最大の交易国であり、国内には中国資本がなだれこんでいるという。 ロシア極東地方では中国の安価な商品や観光客からの収入が、経済苦にあえぐロシア人の生活を下支えしているといわれる。 南に国境を接する東南アジアでも、その影響力はじわじわと増しており、政府レベルでの資金融資から民間の交易・投資に至るまで、様々な形で存在感を高めている。 中でもミャンマーへの支援は際立っており、同国への経済制裁を敷く欧米諸国を横目に、インフラ投資から数億ドル規模の融資まで手厚く援助している。最近ではその「努力」のかいあってか、中国船舶が同国の河川を利用できるようになった。これはインド洋へのルートを確保したという事であり、中国の影響力は遠くアフリカ、中東諸国にも広がろうとしている。 実際、アフリカ諸国との貿易はここ最近急増。中東のイランでは、中国企業がテヘランの地下鉄建設を請負っており、これは中国のプラント輸出では過去最大規模だ。 WTO(世界貿易機関)加盟を目前に、中国はこの地域を有望な輸出先と見込んでおり、ミャンマーを通じた南西への海洋ルートの確保は、そのための布石とも言えるだろう。 旺盛な輸出力と戦略的な対外援助によって、国際経済での地位を着実に高めている中国。来世紀の超大国を自負する昇竜は、着実にステップを刻んでいる。(李達英=朝・日輸出入商社) |