トンポ/同胞

エネルギー問題解決に寄与したい

名大大学院に合格した朝大生 朴海洋さん(21)


 「思わず友達と抱き合い、『やったー』と叫んだ」

 国立名古屋大学大学院(専攻はエネルギー工学研究科エネルギー理工学)から合格通知を受けたのは9月。昨年7月、朝大生に国立大大学院への道が開かれて以来、現役での合格者第1号となった。

 愛知県春日井市生まれ。幼稚班から愛知朝高まで一貫して朝鮮学校で学んだ。

 1996年6月、修学旅行で訪れた祖国は、自然災害や社会主義市場の喪失などが重なり、かつてなく苦しい経済状況にあった。とくに著しい電力不足を実感し、「エネルギー問題の解決に寄与したい」と誓った。

 「まず民族心を培い、自分が在日同胞社会でどのように民族に貢献できるかというビジョンを描きたかった」と朝大へ進学。当時は朝大卒業生の国立大大学院入学は認められていなかったので、同大研究科から私立大の大学院を目指そうと思っていた。それだけに「ストレートで合格でき、とてもうれしい」と笑う。

 朝大で毎年行われる「学科別研究討論会」では、おととしから2年連続でエネルギーに関する研究を発表した。とくに去年は、「東海村臨界事故からみる原子力発電の限界と問題点」という論文作成のため、現地にも足を運んだ。大学院受験科目の小論文では、今後4、50年で枯渇するとも指摘されている石油に代わるエネルギーの確保を、朝鮮に大量に埋まっている石炭のガス化で実現できる可能性について説いた。

 「合格発表後、名大の教授から、『小論文の点数がとても良かった』という報告を受けた。朝大での積み重ねが本人の力になったのだろう」と、張炳泰・理工学部学部長(58)は語る。

 後輩たちに、「どんどんチャレンジしてほしい」とエールを送る。卒業に向けて忙しい日々がこれからも続く。(李明花記者)

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