5回目迎えた大阪・「ウリキョレ女性展」
芸術通じて心一つに
油絵、書芸、陶芸、ステンドグラスなど575点
18〜85歳まで延べ317人が出展
今年で5回目を迎えた「ウリキョレ女性展」(11月10〜13日、大阪国際交流センター)。「ハナロ(1つに)」を合い言葉に、団体の所属を越え、大阪一円の同胞女性絵画愛好家らが作品を出展してきた。在日同胞が最も多く住む大阪で、6・15共同宣言に逆上ること5年、同胞女性たちが心して展示会を継続してきた意義は大きい。 出会いの場を 同展が初めて催されたのは、5年前の1996年6月のことだ。そのきっかけとなったのは、祖国解放50年に際して、異国の地で暮らすウリ同胞だけでも、分断の壁を乗り越え、1つになって何かできないものかという有志らの声だった。 「同胞女性たちが祖国への想い、民族の誇り、分かち合える志をそれぞれの手段で表現し、『分断と対立の壁』を乗り越え、心と心をつなぐ『出逢いの場』を作りたかった。これが始まりで、展示会の趣旨でもある」と黄河春事務局長(60)は語る。 それまで総聯、民団系の同胞が一堂に集うことは難しかったが、さっそく現職を退いた活動家や、商工人、民族寺院、大阪朝高と白頭学園(建国高等学校)の1期生などが呼びかけたところ、双方の関係者から快く賛同が得られたという。 李王絢相談役(69)は「団体と思想、信条、宗教などを問わず、『ハナロ』を合い言葉に互いを認め合い、ウリキョレという共通点に絞って意見を交換し追求してきたことが、継続できた秘訣だ」と力説する。 同じく李花子相談役(66)は、「当初はなぜ総聯と、と言っていた友人も、今では良き理解者になった。実際に出会いを重ね、相手と語り合う過程で双方の心の壁は少しずつ取り除かれていった。芸術という共通性から和解への空間が生まれてきた」と言う。 これは展覧会開催後、次回までの「つなぎ」として親ぼくを深める会として始まったもので、14回になる。当初は自己紹介や互いの想いを語り合う程度だったが、朝鮮半島情勢に関する講習会などを持つ過程で、「済州道4・3事件、朝鮮戦争勃発などこれまで異なる主張を抱いていた双方の歴史認識を一つにすることもできた」(黄事務局長)。 今回は、毎回の出品を欠かさなかった李賛英さん(78)の水彩画「ファンタジックコスモス」や、家族3世代揃って出展した、1世の梁寿玉さん(85)のジャケット(刺子・刺繍)、嫁の李聖姫さんのバック(パッチワーク)、孫の任梨沙さんの銅打ち出し鍋がひときわ目を引いた。 朝銀近畿大阪と関西興銀から寄せられたスタンド花も会場に華をそえた。 郭順渕さん(共同代表、56)は「顔だけは知っていた人とも言葉を交わすことが出来るようになったし、視野が広がった」と言う。李現枝さん(同、64)も「6・15共同宣言以降、統一の機運は高まっており、われわれの活動が正しかったことを再認識している。私たちのような活動が民族の同質性の回復を促し、統一の脈をつなぐものとして、全国的に広がってくれれば」と語っていた。(羅基哲記者) |