山で元気
金峰山
(2599メートル、長野県・山梨県)
麗峰赤富士が大きく迫る
健脚会10月の月例登山が西丹沢大野山で22人が参加し行われた際、有志の熱望で、かねてから懸案であった金峰登山の1週間後決行が決まった。
奥秩父の盟主金峰山へは、山梨県側の大弛(おおだるみ)峠からのルートが最も楽で一般的だが、今回六人で長野県側からのコースをとった。 JR駅最高所で高原野菜発祥地の小海線野辺山駅に降り立ったが、望む八ヶ岳連峰は雨に煙る霧の中。廻目平(まるめだいら)登山口で身仕度、「岩石崩落危険の為登山禁止」の表示板を見て、 事故 自己責任を自認してゲートを通った。が最後まで危険箇所は見当たらず、歩きやすい快適な登山道が続いていた。 白樺林の中にテントが見えるキャンプ場をあとに、金峰山川渓谷沿いの川端下(かわはけ)林道を上る。黄葉のカラマツ林にコメツガの濃い緑とナナカマドの赤い実が深まりゆく秋を彩るすばらしい景観。 原生林の樹林帯がシャクナゲ群生に変わる頃、標高差1000メートル近い登りで、気温は低く雨に濡れた手はかじかみ、体は冷えて疲労困ぱい。やっと金峰山小屋にたどり着き、暖をとってひと息。 翌早朝、朝靄(もや)の中を登った山頂にはシンボルの五丈岩がそびえていた。森林限界を越えた山頂からしばらく岩尾根を下る。大日岩の下では眼下に眺望が大きく開け、小川山の左に特異な岩峰の瑞牆(みずがき)山が鮮やかな紅葉に染まっていた。 原生林からカラマツ林に変わり、富士見平小屋の前に出て昼食休憩し瑞牆山荘前に下った。バス代わりのジャンボタクシーを利用、増富ラジウム温泉でゆっくり疲れをほぐし、百名山金峰を登り終えた満足感の余韻に浸りながら韮崎駅へ向かった。雨上りの夕空に遠く近く美しい山並みが望まれ、八ヶ岳、鳳凰三山、茅ガ岳…そして麗峰赤富士が大きく迫って見えた。山はいい。 (東京板橋健脚会・李福権) 【山行アドバイス】変化に富んだコースだが足元の岩石もしっかり安定して難所はない。 |