第2次「統一ハンマウム」訪米団に参加して
康民華
ネットワーク形成を
祖国、同胞社会の発展へ/教育、生活など意見交換
見学
「祖国愛・民族愛・同胞愛に国境はない」――この一言に首をかしげる人もいた。しかし、大国に囲まれて絶えず外部からの侵略の脅威にさらされ、ついには日本の植民地となり、そのために同胞が各国への移住を余儀なくされた朝鮮民族の特殊状況を考えると、私には違和感がなかった。そんなことを思い続けた七日間の訪米であった。 日本の各地で日頃、民族教育をはじめ在日同胞社会に貢献している2世同胞商工人ら8人で構成された、第2次「統一ハンマウム」在日同胞訪米団だ。 1年前、祖国平和統一協会(平統協)の役員を中心に、1世の同胞30数人が訪米旅行をしたのを受けて、その息子たちが発起人となり、1年越しの準備の末実現した日程は、11月9日から15日にかけてニューヨークからロサンゼルスへ米大陸を東西に横断した駆け足の旅で、その内容もさすが若い商工人の集団だけあって、ウォール街の証券市場やメトロポリタン美術館の見学、ブロードウェイでのミュージカル観覧など、彼らの関心と特色をよく表していた。 しかしそれにも増して、現地に住む同胞との出会いと交流が忘れられない思い出となり、貴重な体験となったのではなかろうか。 交流 現在米国には200万の同胞が住んでいると言われるが、外国人として日本に住むわれわれと違って、ほとんどが米国の市民権を持つコリアン系米国人である。これまで統一運動に限られていた彼らとの交流はここ1〜2年の間に、東京朝高舞踊サークルや在日同胞民族器楽団の公演、在日同胞青年の訪米など、次第にその幅が広まりつつある。滞在中われわれ一行の世話をしてくれたのも、数年前に発足し、総聯の活動に大きな関心を示している、在米同胞連合の東部地域および西部地域の人々であった。 一行はニューヨークで、今や世界が注目している国連駐在朝鮮代表部を訪れるとともに、去る7月に来日して大きな反響を呼んだ統一学研究所の韓浩錫所長らニューヨーク在住の同胞と会って、米大統領選挙の行方や朝米関係の展望など、統一をめぐる内外情勢について貴重な話を聞き、かつ意見交換を行った。またロスでは、現地の同胞団体が共同で歓迎宴を催してくれ、一行は市内の民族レストランに集まった20余人の同胞から「統一を願う全民族の意思を表す
統一ハンマウム(1つの心)
という訪米団の名前が実にいい。さらにメンバーが在日同胞2世で構成されたことが非常に頼もしく、うれしい」(在米同胞連合西部地域の玄会長)と、一行を心から歓迎してくれた。 一行は、ロスで同胞が経営する縫製工場を訪れて、米国最大を誇る規模の大きさに驚き、92年に起こったロス暴動の生々しい話にショックを感じたが、なかでも「在日同胞にぜひ聞かせたい」と皆を感動させたのは、東部地域事務局長の金さんの次のような話だ。 「われわれ1世は皆母国語ができますが、幼い頃渡ってきた1・5世やここで生まれ育った2世になると英語しかできず、完全に米国人になってしまいます。ところがここ米国は、少数民族を非常に尊重する側面もあり大人になって社会に出ると、コリアンであるならコリア文化に精通し、その持ち味を生かすことが求められます。コリアンでありながら母国語やコリア文化を知らず米国人として成長した世代は、その時になって自分の両親を恨むことになるのです」 ちなみに、4歳になる金さんの息子が在米2世でありながら流ちょうな母国語を話すなんとも可愛らしい姿に、正規の教育が成されぬなかでも民族の魂を守り続けようとする、在米同胞の志向を垣間見た一行は深い感動をおぼえた。 私も最後の夜、彼らから総聯の民族教育や生活問題に関して質問責めあった。「海外僑胞の生活や運動も、もはや居住国の範囲を超えるべきではないでしょうか。その意味でもっと在日同胞との交流を活発に行えるよう、先輩格の総聯に頑張ってほしいものです」という意見も聞かれた。 「実に意義ある訪米でした。祖国の統一と発展のため、同胞社会の発展のため、彼らとの交流をもっと深めて、ネットワークを形成すべきですね」と団長の白盛基氏が語っていたが、私もまったく同感だ。(祖国平和統一協会広報局長) |