迷いを克服し、娘をウリハッキョに送った両親
心動かした先制の助言
先日、元同僚と20年ぶりに再会した。会社ではお互いに地方出身者で、寄宿舎も同部屋。偶然にも、弟の同級生だった。
年頃を迎え、彼女は同僚の1人と恋に落ち、めでたくゴールイン。退社し、東京近郊の地方都市へ移り住んだ。その間、人生のジグザクもあったが、2男1女に恵まれて、長男は東京朝高生になった。自宅から学校まで2時間かけて通う。 同様の時間は私の身にも流れ、今春、娘が東京朝高に入学。離れていた互いの軌跡はここで交差。そして秋の授業参観に出かけた折に校内でバッタリ再会した。 「オンニ」と呼ばれて振り向いた瞬間、懐かしい顔があった。手を取り合って互いの温もりを確認した。 立ち話で身の上をざっと聞いた。次男は埼玉朝鮮中級部に在学中で、1人娘は今春初級部に入学した。 「上の男の子2人はウリハッキョにと、1つも迷わなかったのに、娘には遠距離通学は無理だと思って、近所の日本学校でいいと思っていたんですよ」。通学には電車、バスと1時間30分ほどかかる。「カバンは重いし、人込みの中を1人で通わすのはかわいそう」。両親はこう考えたと言う。そんな折にタイミングよく顔をのぞかせたのが、ある先生だった。 「アボジ、オモニ、何を心配しているんですか。子供はたくましく育っていきます。居眠りして、駅を間違えても、自分なりの機知と知恵でうまく切り抜けていくんです。でも、今ウリハッキョに入れないで、子供を何人に育てると言うんですか」と物すごい剣幕で説得された。そして、今は夫婦ともその先生に心から感謝しているとしみじみ語っていた。(公) |