朝鮮支配 合法論 の虚構

姜萬吉・高麗大学名誉教授


 高麗大学の姜萬吉名誉教授は、13日付のハンギョレで、「合法 併合 主張と朝・日条約」と題するコラムを書いた。その内容を紹介する。(見出し、中見出しと訳は編集部)

 数日前、ソウルで「過去の清算と21世紀の韓日関係」と題する学術会議が開かれた。日本の大衆文化の完全開放、ワールドカップ共同開催などを控えて、とくに、20世紀前半の不幸な韓日関係を清算し、よりいっそう友好的で転換的な韓日関係を樹立しようという努力が起きており、今回の学術会議も、そうした趣旨で開かれたものだと言える。

植民地支配ではなく軍事的強占

 論議された焦点のひとつは、やはり 韓日併合条約 (1910年)の合法性如何だった。条約締結の合法、不法問題を、学問的に明らかにする必要がないというのではないが、21世紀の入り口で平和主義者を自称する学者たちが、1世紀前に帝国主義者が勝手に作り上げた当時の国際法を物差しにして、合法か不法かをただすこと自体が腹立たしかった。それだけではない。先祖が地下でまた怒っているようで、出席したことが後悔された。

 20世紀前半期を通じて、日本帝国主義者が朝鮮半島を支配した事実を、よく植民地支配と呼んでいるが、そう呼ぶことを拒否する学者たちも多い。事実、日本の朝鮮半島支配は、英国のインド、ビルマ、マレーシア支配やフランスのベトナム支配などとは違う。これらは、西洋文化圏の資本主義先進国が、まだ資本主義を知らない異質的なアジア文化圏を支配したものだ。

 しかし、日本の朝鮮半島支配は、同じ文化圏で、それも中世時代までは文化的に遅れていたと認められる地域が、進んでいたと認められる地域を支配したものであり、資本主義文化水準もそれほど大きな差のない民族国家同士の軍事的強圧によって支配と被支配関係になった。日本の朝鮮支配は、植民地支配というよりも、軍事的強占だったと見るべきなのだ。

当然に論議されるべき戦争賠償

  併合 前の義兵戦争で、わが方の死傷者が約5万人も出たという事実を念頭において例を挙げるならば、日本の朝鮮支配は、第2次世界大戦時にナチスドイツが、同じ文化圏のフランスを占領した状況と比較することができるだろう。ナチスドイツは、フランスの親ナチのビシー政府を認定し、日本帝国主義は35年間、朝鮮人の自治政府を許さなかったという違いはあるが、ソウルと大韓帝国皇宮を包囲して乙巳条約を強制的に締結したという事実を熟知していながら、なおも日本の一部の学者が条約の締結は合法だったと強弁し、「日本の朝鮮半島支配は正しくなかったが、条約は合法的に締結された」とき弁を弄するのにはそれなりの理由がある。

 日本の朝鮮 併合 が合法的なものでなかったのなら、それは当然、軍事的強占になり、今後の朝・日条約締結過程で論議される賠償は、戦争賠償と同じものになるべきだろう。北朝鮮当局は、実際に日本帝国主義の強制支配35年間、武力闘争を続けたことを強調している。日本側が、朝・日条約締結過程で戦争賠償を行わないようにするためには、 併合 条約が合法だったと主張するしかないのだ。そして、それに対する実証作業が必要になり、一部の学者がそれに同調したのだと言えよう。

 米国の強力な要求を背景にして、朴正煕軍事独裁政権と韓日条約を締結した時は、日本の学界は 併合 条約の合法性を主張しなかった。日本帝国主義のかいらい、満州国将校出身の朴正煕政権との条約締結過程では、そうした必要すらなかったのだろう。そして韓日条約 では、日本の朝鮮半島支配権が、1910年の 併合 時から無効なのか、1945年の解放時から無効なのかを明らかにしなくても済んだ。しかし、抗日武装運動勢力を中心に樹立され、その後継勢力が統治する北朝鮮との条約締結過程では、1965年とは違い 併合 の合法性を主張する必要性が高まったと言える。

 一部の日本の学界の主張のように 併合 が合法的だったのなら、われわれの民族解放運動のすべては、その合法統治に抵抗した反逆行為になってしまう。たとえ、帝国主義者が作った国際法に基づいて合法性が実証されるとしても、他民族の民族解放運動を反逆行為と規定して、今後、その民族と正しい意味での友好関係を樹立することができるのだろうか、合法性を実証しようとする一部の日本の学界は、深く考えるべきだ。

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