みんなの健康Q&A
生活習慣病とその予防(3)/高脂血症とガン
体重是正が有効な治療
動物性脂肪控えめに/調和のとれた栄養を
Q 血液検査でコレステロールや中性脂肪が高いことを高脂血症というのですか。
A そうです。それらは脂質と呼ばれ、血液中の脂質が異常に高い状態が高脂血症です。コレステロールは、体の各組織の細胞膜や各種ホルモンなどを合成する材料として必要不可欠なものです。そのため、食べ物からも摂取されますが、主に肝臓でつねに作られ、血液によって全身に運ばれます。 Q どんな症状が出てくるのですか。 A 高脂血症では、合併症を起こさないかぎり、全く症状はありません。ところが、血液中の脂質濃度が高い状態が長く続くと、血管の内側に余分な脂質成分が付着し、血管を硬くし、血管の中を狭くしていきます。これを動脈硬化といいます。動脈硬化により、狭心症・心筋梗塞や脳梗塞が引き起こされます。 Q やはり食事と運動療法が基本ですか。 A その通りです。例えば、コレステロールをたくさん含む食品として、卵黄、いくら、たらこ、脂身の多い牛・豚肉、動物の肝臓、バター、しらす干し等があげられます。運動することにより体のエネルギーが消費され、脂肪の分解が活性化され、脂質の減少につながります。運動療法には、散歩、自転車に乗ることや水泳など長時間持続可能なものが適しています。 肥満すなわち高脂血症になるというわけではありませんが、体重是正が有効な治療につながります。最近はかなり効果のある薬が出ていますが、食事や運動に気をつけないと、使っても効果が安定しません。 Q 母親のことなんですが、食生活が変わったわけでもないのに50を過ぎてから急にコレステロール値が高くなったそうなんです。特別に原因があるのでしょうか。 A それはどうも更年期という問題と関係がありそうですね。つまり、その年代の女性というのは閉経期を迎えるわけですが、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が減少します。エストロゲンは血液中の脂質を正常に保つ働きがあり、これが低下してくると血管にたまりやすい悪玉コレステロールが増え、動脈硬化へと進展しやすくなるのです。1度、専門医に相談されたほうがよいでしょう。 Q ガンと生活習慣との関わりについてお話しいただけますか。 A 日本ではガンによる死亡者が全死亡者の30%を超えており、死亡原因の第1位となっています。 細胞の遺伝子に悪影響を及ぼしガン化をもたらすものをガン危険因子といいます。発ガン性を有する化学物質としては、石綿(アスベスト)、食品添加物から変化して生ずるニトロソアミン、煙草の煙に含まれるニコチン・タールなどが代表的です。食生活の欧米化、とりわけ動物性脂肪のとりすぎと食物繊維の不足は色々なガンと関係があると言われています。アルコール自体には発ガン性はないとされていますが、多量に飲むと食道・咽頭ガンの発生率が高くなります。ストレスは身体の生理機能を乱し、ガンが発生しやすい体内環境を作ると考えられています。 Q ガンを予防するにはどうすればよいでしょうか。 A ガン予防に絶対的なものはありません。食生活では調和のとれた栄養をとり、過食を避け動物性脂肪は控えめにし、アルコールは適量を守ることが大切です。喫煙は自分だけでなく家族の健康を考えれば、きっぱりやめるべきです。また、食品添加物の多い作り置きの外食や、安全性の確立していない遺伝子組み換え作物を使用した飲食物は避けるべきだと思います。 Q 生活習慣の改善は何歳ぐらいから始めるべきでしょうか。 A 学校教育も含め、できる限り早期に行うべきです。その理由は、固定化した生活習慣を矯正するよりも、健康な生活習慣を小児期に定着させることの方が効率的だからです。また、小児・若年期の生活習慣が加齢後の生活習慣病の発症に影響を与えることが考えられるからです。(この項おわり) |