取材ノート

どうする墓の名、民族式か通名か


 知人が都内に両親の墓を建て、明日23日、建立式を行うという。民族の習慣について少々の知識を持っている「1世に近い」2世だが、やはりウリ式に墓を建てることについては「無知」なようであった。そんな彼に、愛知県在住の同胞の石屋さんを取材して聞いたノウハウをアドバイスした。

 留意点は墓の表面に本貫を刻むこと(例えば「密陽朴公家之墓」のように)。当初は「朴家之墓」と刻もうとしていた。これだと、どこの朴家だかわからない。また、日本人の石屋さんは日本ではあまり使わない朝鮮独特の漢字に詳しくないため、漢字のはねる、はねないという点もしっかりチェックする必要がある。

 知人は、いずれは南の故郷に両親の遺骨を持っていこうとしていたが、分断のため実現できなかった。そんな現実から、済州道出身者が多い大阪で、遺骨を航空便で送っている人もおり、その数は、月40柱にもなるという。

 6・15共同宣言後、総聯の同胞による故郷訪問第2陣が南の地を訪れている。しかし、日本に生活基盤を築いていることから、日本に墓を建てる同胞が増えている。こうした傾向はこれからはもっと増えていくだろう。

 同胞経営者の霊園も増えている。以前、和歌山県の南紀にある霊園を取材したことがあるが、よい環境にあり、空きもあるようだ。

 在日にとって墓石は、「民族最後の砦」とも言えよう。朝鮮名を刻むか、通名を刻むかは十分に考える必要がある。通名を名乗るようになった歴史的経緯を考えれば、当然、代を継承する意味で、朝鮮名を刻むべきだ。中には朝鮮語で刻む人もいるそうだ。ウリ式に墓を建てれば、その経緯は永遠に、子孫たちに語り継がれていくだろう。(羅基哲記者)

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