春・夏・秋・冬

 朝鮮の医学界に大きな足跡を残した許浚(ホ・ジュン)。16世紀から17世紀のはじめにかけて活躍した名医で、中国や日本でも出版されたという医学書「東医宝鑑」(トンイポガ、25巻)の著者である

▼彼の生涯を描いたドラマ「許浚」(64話)が昨年11月から今年の6月まで南のMBCテレビで放映され、60%の視聴率を記録したという

▼自分を育ててくれた先生の遺志を継ぐ一心で、医者としての使命感に燃え、利益を顧みず民衆の苦しみを自分の苦しみと感じ、最後まで見捨てずひたすら患者の治療に励む許浚の姿にはしばしば目頭が熱くなり、かつ主人公の魅力に吸い込まれそうになった

▼壬辰倭乱にもめげず、両班官僚らのねたみと妨害にもめげず、国の医学発展のために1610年までの15年にわたって、「東医宝鑑」を編さん完成させた許浚の崇高な精神を通して「人はどう生きなければならないか」を考えさせられた

▼企業の倒産、貧富の差、犯罪、病気。通貨危機以後、日々の暮らしが市場原理によって打ち壊される南の人々にとって、現実の矛盾の解消を映像に写しだされた許浚という「想像」に求めたことが人気を集めた理由ではなかろうか

▼数百年前の歴史をドラマで復元するのは不可能であるし、それはドラマの役割ではない。また解釈もいろいろあろう。しかしながら、東洋社会全体にわたって聖典とあがめられた「東医宝鑑」が、どんなに素晴らしい価値をもっていたかということを、いま1度考えなおさないではいられなかった。(舜)

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