強盛大国 金正日プランー6−
統 一
両政府に政治・軍事・外交権
「低い段階の連邦制」 統一機構が調整
「北側の低い段階の連邦制案と南側の連合制案が互いに共通性があると認め、今後、この方向で統一をめざしていく」――朝鮮半島の統一方途について、金正日総書記と金大中大統領は6・15共同宣言でこう確認した。双方が「共通性がある」と認めた統一方案(枠組み)とはどのようなものなのか。またその展望は。
政府の上に統一機構 特徴は@の「両政府の現在の機能、権限維持」にある。 北側は、80年に発表した高麗民主連邦共和国創立方案で、統一政府である最高民族連邦会議(南北同数の代表と適当数の海外同胞代表で構成)と連邦常設委員会を組織し、常設委が北南地域政府を指導しようと提案していた。 また、金日成主席は91年の「新年の辞」で、当面、連邦共和国の地方自治政府に多くの権限を付与し、将来的に中央政府の権限を高めていく方向で、まずは連邦制統一を暫定的に実現させようと、そのための協議を呼びかけていた。 南の「連合制案」は、@2つの体制、2つの政府を維持しながらA閣僚級会談などの共同常設機構を構成しBそこで懸案問題を協議して実行していく、というものだ(統一部の資料「われわれ共に」)。 南ではそれまで、「勝共統一」(歴代の軍事独裁政権)、「吸収統一」(金泳三)など、資本主義による制度統一を目指していた。が、金大中大統領は98年の就任演説で、「吸収統一」はしないと述べ、総書記との会談でも、北の体制を崩壊させたり変質させたりしないと強調した。 こうして見ると双方の共通点は、@それぞれの体制を維持した上での各自治政府の構成A共同機構の設置Bそこでの統一問題等論議――の少なくとも3点あることがわかる。 ただ、「連合制案」は、「政府=国家」と規定しており、統一方途を論議するうえでの北との相違点となる。 では、6・15共同宣言後の現在の状況は、「低い段階の連邦制案」とどのような関連を持つのか。 総書記は南のマスコミ代表団との会見(8月)の席で、「(離散家族・親戚について)来年には彼ら(北の住民)が(南の)家にまで行けるようにする」「南の歌手が平譲に来れば…人民たちが鑑賞できる」「金剛山と雪岳山観光を連結する事業は2005年にすべきだ」「南との光ケーブルが敷設されれば一秒もかからず南側に知らせることができる」「現代側に開城観光団地と工業団地を造れるようした」などと述べた。 このような交流、協力事業が活性化していけば信頼関係は深まり、動きを整理するために共同機構を設けることが必要となろう。そうなれば、「低い段階の連邦制」あるいは「連合制」に入ることができるのではないか。(羅基哲記者) |