やったぞ 大阪朝高

全国高校サッカーに出場

延長の末清風高下す


 大阪朝鮮高級学校サッカー部が、正月恒例の日本の全国高校サッカー選手権大会(第79回)へのキップを手にした。11日、大阪市内の長居陸上第2競技場で行われた大阪大会(229校参加)予選の決勝戦で、清風高校と対戦した大阪朝高は、1―1で迎えた延長後半8分、金東秀選手が華麗なボレーシュートを決め2―1で勝利した。同部の日本の全国大会出場は、昨年夏のインターハイに続き2度目。全国大会は12月30日から東京などで開かれる。

先制は25bミドルシュート/決勝ゴールは弾丸ボレー

大阪朝高 2−1 清  風
前半
後半
延長前
延長後


 キックオフの午後2時、競技場には応援に駆けつけた約1万人の観客がスタンドを埋め尽くした。「イギョラ(勝て)朝高」、「清風」――双方応援席から大きな声援が飛び交う。

 朝高は、選手権初出場をかけた初の決勝進出。昨年のインターハイでは強豪帝京高校(東京)に2―2(PK3―4)で惜敗したものの、全国大会でたたかう自信はつけた。今年のメンバーには、その試合に出場した選手が3人いる。

 一方、対戦相手の清風は、大阪では強豪。3年連続の決勝進出。だが、過去2回は敗退している。それだけに、今回はどうにかしてその無念を晴らし、結果を出したいところだ。

◇              ◇

 立ち上がり風上の清風は、2人のMFを起点に細かいパスワークから攻撃を仕掛ける。一方、朝高はサイドバックのキャップテン梁英二選手(3年)の積極的な攻撃参加とMF金昇志選手(2年)のドリブル突破でチャンスを作り、前半5分、絶好のスペースに走り込んだMF姜鉉守選手(1年)が、25メートルの豪快なミドルシュート。思い切りの良さが生んだ先制点となった。

 その後も多彩な攻撃で試合を優位に進めた朝高は、後半に入り、ロングパスを多用。清風DF陣をゴール前に釘づけにするが、相手も体を張り、なかなかゴールを奪うことができない。お互いやや雑になる場面も見られたが、徐々に清風がパスからリズムを取り直し、後半37分に同点ゴールを奪われる。すると、それまで静まりかえっていた両応援席から「朝高」、「清風」という声援が再び響き渡る。

 その1分後、朝高がシュートを放つが、わずかに左ポストを外れる。朝高のシュートは清風(5)の3倍以上の16にも達したが、勝ち得点を得られず、試合は延長戦(10分ハーフ)にもつれ込んだ。

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 延長後半8分、FW宋裕選手(2年)の左からの絶妙なセンターリングを、FW金東秀選手(2年)がJリーガー顔負けの弾丸ボレーシュート。ボールはゴール左に突き刺さった。これが決勝ゴールとなった。
 「ピッピー」、試合終了を知らせるホイッスルが響き渡ると、朝高側に陣取った同胞学父母やサッカー部OB、同校生徒らは、グラウンドで抱き合うイレブンに向かい「朝高 マンセー(万歳)、マンセー」と熱いエールを送った。

 清風高校の湯木英夫監督は「完敗です。われわれは技術で対抗しようとしたが、朝高は攻撃と守りが両立したチームで、1枚上手だった」と敗戦の弁。細江潔信キャプテンは「選手権ではわれわれの分も頑張ってほしい」と話していた。(羅基哲記者)

 【注】大阪朝高サッカー部の選手権出場は1954年度大会に出場した東京朝高に続き2度目。当時、東京朝高は大会4強に進出した。大阪朝高の選手権出場は「各種学校」に「全国」大会出場の道が開かれてからは初めて。

選手、同胞たちの喜びの声


 95年から監督を務め、悲願の選手権への出場を決めた金正海監督(39)「相手も最後まであきらめず、いいゲームになった。勝因は清風さんより勝ちたいという気持ちが少しだけ勝っていたから。生徒たちに全国大会出場の夢(門戸開放)を与えてくれた関係者らに感謝したい。選手権では白星を1つでも収め、民族教育の素晴らしさをアピールしたい」

 チームを決勝へと導いた梁英二キャプテン(3年)「インターハイの予選(ベスト16)で負けた時、相手の喜ぶ姿を目に焼き付けろと監督に言われた。それが肥やしになり、チームをまとめることができた。勝利できたのは応援してくれた同胞たちのおかげ。目標は選手権に出ることではなく、1試合でも勝って堂々と校歌を歌うことだ」

 決勝ゴールを決めた金東秀選手(2年)「チームのみんながつないでくれたボールだと思い、勝ちたい一心でゴールを狙った」

 選手たちと気持ちを一体にして、応援していた大阪朝高サッカー部OBの徐勉淑さん(37)「見事な試合だった。選手権出場は、われわれの時代には認められず、夢のまた夢だったことが実現。ぜひとも朝高の強さ、朝鮮人の根性をアピールしてほしい」

 声がかれるほど声援を送っていた朝高応援団の宋恭子さん(3年)「同点に追いつかれてからは、早く勝ち点を奪ってほしいという気持ちでいっそう応援に熱が入った。選手権に向け練習を重ねていってほしい」

 朝鮮新報の案内を見て応援にかけつけた金哲雄(51)夫妻「子供は日本の高校に通っているが、同じ同胞として応援に駆けつけた。喜びを共有できてとてもうれしい。選手権でも健闘すると確信している」

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