大阪の外国人学校交流会
羽ばたけ、民族学校! 輝け、国際交流!
「互いの文化、もっと知りたい」
地域で初、朝・日・中・英から1000人
主催者ら「教育権拡大のステップに」
10月22日に大阪市内で催された「朝鮮学校・外国人学校・日本学校の子ども交流会 羽ばたけ、民族教育! 輝け、国際交流!」(本紙1日付既報)は、出演者と観覧者、計1000余人の参加のもと、大盛況のうちに幕を閉じた。参加者たちは、日本と外国の子供たちが互いの民族文化を尊び、交流を深めることの大切さを肌で感じ取ったようだった。 「出会いの場に」 そのテーマは大きく2つ。会のタイトルにも反映されている「民族教育の振興」と「国際交流の活性化」である。交流を通じて、「朝鮮学校のみならず外国人学校全体の問題として、助成金増額など教育権のさらなる拡大への足掛かりにしたい」(在日本朝鮮人大阪府教育会の蔡成泰副会長)という思いが、今回の開催につながった。 第1、2部を合わせて、10校から360人以上の各国の子供たちが集う交流会は、大阪では初の試み。中大阪初中、東大阪初級、大阪中華学校、旭東中、池田中、神戸市の聖ミカエル国際学校が参加した。 第1部の交流会「輝け、国際交流!」では、それぞれの学校が、お国柄を反映した歌や舞踊、寸劇、吹奏楽などを披露した。中大阪中級部の生徒と、日本の小学生の和太鼓サークル「RYOUGOKU DAIKOクラブ」による、和太鼓とチャンゴのジョイント演奏は、観客の喝さいを浴びた。 大阪での朝鮮学校教育実施55周年を記念して行われた、第2部「羽ばたけ、民族教育!」では、大阪市内の朝鮮学校が歌や舞踊などを通じて、55年もの間、同胞の手で守ってきた民族教育のすばらしさを余す所なく披露した。なかでも幼稚班園児のキュートな合唱には、会場からも笑い声が絶えなかった。 交流会では、朝・日・中・英の各校代表の生徒5人が司会を務めた。朝鮮学校からは李由伊さん(生野初級6年)が、「自分の国の文化を守ることも、ほかの国の文化を知ることも大切であることを学びました」と、緊張しながらもしっかりした口調で話し、無事、大役を果たした。 今春、大阪朝高を卒業した尹淑恵さん(東大阪市、バレエ教室助手、19)は、4ヵ国の子供たちが一同に集う光景に「新鮮さを感じた」という。 「仕事柄、ほかの国の踊りを見る機会も多い。こういう交流の場をどんどん作って、互いの文化を理解し、吸収することは大事だと思います」 また、北大阪初中と十数年来の交流があり、今回も参加を快諾した、池田中の吹奏楽部の生徒たちからは、「知らない楽器がたくさん出て来てびっくり。朝鮮舞踊は本当にきれいだった」(重本佳代子さん、中3)、「これをきっかけに、朝鮮やほかの国の人たちと友達になって話ができればうれしい」(空岡由梨弥さん、同)など、率直な感想が多く聞かれた。 一方、外国人学校に対する処遇改善の必要性を感じたという意見も多かった。同校の田島宏美教諭は、同じ地域の子供たちの触れ合いは大事としながらも、「現実に、彼らの前には差別を受けている現状がある。教育は誰しもが平等に享受し得る権利。助成金給付の問題をはじめ、外国人学校の教育問題は、民族で区別する差別的視点ではなく、同じ目線からとらえる必要がある」と指摘する。 主催者側では、今回の成果を、21世紀の国際交流のスタートととらえ、教育権拡大運動の一層のステップアップを図りたい構えだ。 (柳成根記者) |