現代の開城開発計画

東北アの中枢的工団に

平壌から160`、ソウルから70`/抜群の立地


長期的には総合的な国際都市

 南の現代グループと朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)が開発に取り組んでいる開城工業団地建設計画の概要が明らかになった。金剛山観光など、現代グループの対北経済協力部門を担当する現代峨山が先月まとめたレポート「開城経済地区投資環境」によると、開発区域は開城市と板門郡平和里一帯の66・6平方キロメートルで、「中国の深せん経済特区のような経済地区に指定し、製造、金融、商業および観光産業を含む世界的に競争力ある総合的な国際自由都市に開発」する。来年3月に着工し、2008年まで3つの工業団地を作る計画だ。(開発地域図※説明はハングル表記です

来年3月にも着工

 レポートによると、この事業の目的は@世界的規模の工業団地造成と南北企業、外国企業の誘致で東北アジア地域の中枢的な産業団地として建設A(長期的には)貿易、工業、観光、商業、住居機能を持つ複合的で国際的な新都市を建設B北側の大規模雇用創出と入住企業の国際競争力確保C南側、北側、外国間の経済協力の推進と共栄に寄与――すること。「北側から土地使用権を50年以上賃借し、産業団地に開発した後、国内外の企業に分譲」する方式で行う。

 工業団地の造成で、現代と北側が正式に文書で合意を交わしたのは99年10月、現代グループの鄭周永前名誉会長が訪北し、金正日総書記と会談した時だ。この時点では南浦、新義州、海州など複数の候補地があったが、今年8月、開城に決定。鄭夢憲・現代峨山理事会議長が訪北した際に合意書が締結された。

 年内には現代が測量と土質調査を済ませ、土地利用権や労働力供給条件など経済地区の運営条件についての協議を経て、北側が経済地区と関連した特別法を制定する見込み。現代としては、来年2月には調査、設計を完了させ、3月には工事着工および分譲を開始したいとしている。

2008年まで3団地

 開城は平壌から160キロ、ソウルから70キロの距離。さらに9月からは、ソウルから開城を経て新義州まで続く京義線の復元工事および京義線と並行して走る道路の建設も始まった。

 レポートは開城地区の立地条件の良さについて@朝鮮半島の中心地域(交通の要衝)A開城市およびソウル圏一帯を背後都市として活用可能Bソウルおよび京仁地域と近距離(部品、半製品など原資材の調達、情報取得が容易)C南北インフラの連結使用が容易(鉄道、道路、電力、用水など)D事業候補地の地形が工事に好条件E高麗王朝の都で文化観光に好条件――と指摘している。

 同地区には、年まで3つの工業団地が建設される計画だ。

 2001年中に建設される予定の第1工業団地は面積3・3平方キロメートルで、繊維、衣類、製靴、皮革、バッグ類、玩具、靴下、食品、飲料、電気・電子組立、金属・機械組立など、主に軽工業分野の品目、業種を中心に百五十社を誘致する計画。雇用人員2万人、年間生産高20億ドルを見込む。

 2002〜4年に建設される第2工業団地は面積10平方キロメートルで入住企業450社、雇用人員6万人、年間生産高60億ドル、2005〜8年に建設される第3工業団地は面積13・3平方キロメートルで入住企業600社、雇用人員8万人、年間生産高120億ドルをそれぞれ見込んでいる。

 第2、第3工業団地では、電気・電子、金属・機械、自動車部品・組立、精密化学、医薬品・化粧品、情報通信・コンピュータ、ソフトウェアなどの産業設備や先端産業分野を誘致する予定だ。

 工業団地と共に、住居や宿泊・娯楽施設などを併設し、合計15万世帯が暮らす新都市を開発していく。

特別区に法制定

 レポートは、同地域を「中国の深ンq経済特区のような経済地区に指定し、製造、金融、商業、および観光産業を含む世界的に競争力ある総合的な国際自由都市に開発」する計画だとして、「モノ、ヒト、カネおよび情報通信など重要事項に対する自由を保障」する「特別経済地区指定」について強調しているが、現在、開城経済地区をこのように保障する法制度はない。

 先例としては91年末、100%外資の進出が許可される初の経済特別区として設置された羅津―先鋒経済貿易地帯(羅先市)がある。当時、制定された「自由経済貿易地帯法」は98年の憲法改正にともない99年2月に「羅津―先鋒経済貿易地帯法」に改正され、同地区にだけ適用される法律となった。

 開城経済地区にも同様の法律が必要だ。10月に訪北した現代峨山の鄭夢憲・理事会議長は金正日総書記と、「特別法制定」について論議したと報じられた。

 今回のレポートは、年内にも北側が特別法を制定する予定だと明らかにしている。経済特別地区の内容について@企業の自律経営保障、単独投資保障、税制優遇A2重課税防止、投資保障、紛争解決B国際的に競争力ある労働条件保障――としていることから、こうした内容を保障する法律になるとみられる。

 現在のところ北側からの発表はなく、レポートにも「北側との協議結果次第で変更の可能性がある」との但し書きがある。しかし、環日本海経済研究所(ERINA、新潟)の李燦雨客員研究員は「今回のプロジェクトは必ず成功するし、成功させなくてはならない。6・15南北共同宣言以降の南北経済協力の試金石となるプロジェクトだからだ。立地のよさをはじめ、経済特別区としての有利さも、足踏み気味の羅先地区にはるかに勝る」と語る。(韓東賢記者)

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