朝鮮統一支持運動第19回全国集会

統一への流れ、阻めぬ 

南北・朝米和解受け
日朝国交 早期実現に期待感


 京都で開催された「朝鮮統一支持運動第19回全国集会」(10月28〜29日)は、歴史的な南北共同宣言が発表された後、初の集会ということもあって、参加者の関心がいつにも増して高かった。とくにオルブライト米国務長官の訪朝直後だけに、参加者からは早期の統一実現に期待する声が多く上がった。また一方で日本政府に対して「朝鮮に誠実に謝罪、補償をし、国交を結んでこそ統一への拍車となる」と厳しい意見が相次いだ。

日本政府には手厳しい意見続出
謝罪・補償し国交正常化を

 メインとなる初日の全体集会では、朝鮮対外文化連絡協会局長の鄭崙会団長があいさつした。

 鄭団長は「民族の力による自主的な統一をうたった南北共同宣言は、民族に明るい展望を切り開いた。以前と違い、統一を目指す南北和解の雰囲気は高まっている」と述べ、主催者側に招待への謝意を表した。

 また、中江要介・元駐中国大使が「東アジア21世紀の展望」と題して講演した。

 中江氏は、朝鮮半島情勢のグローバルな変化は、21世紀の東アジア情勢に欠くことのできない重要な要素の1つと指摘。「日本が立場をどう取るかが大切で、東アジアから分断国家という冷戦の産物を取り除くためにも、日本は朝鮮の1日も早い統一に努力すべきだ」と強調した。

 2日目の分科会は、第1分科「日朝国交正常化実現へ向けて 日韓併合条約の効力に関する問題点」、第2分科「21世紀の民族教育」、第3分科「マスコミと朝鮮情報」、第4分科「農業と食糧問題」、第5分科「朝鮮関係史跡めぐり」に分かれて行われた。

 なかでも、参加者の関心が高かったのが、日本の政府・マスコミの朝鮮に対する姿勢の問題点を語る、第1、第3分科だった。

 第1分科で、伊藤成彦・中央大教授は「情勢の流れに唯一、乗っていないのが日本。政府は南北共同宣言にうたわれた意味を本当に理解しているのか」と疑問を投げかけた。話は、ちょうど集会の翌日に行われる朝・日国交正常化交渉に及び、「日朝交渉で重要なのは、過去をきちんと見ること。『植民地の朝鮮には良いことをした』とは言語道断。謝るべきは謝り、補償も誠実に行い、友好を結ぶことが、すなわち国交正常化だ」と語気を強めた。

 第3分科では、マスコミの「北朝鮮バッシング」の本質について、渡辺武達・同志社大教授と北川広和・日韓分析編集長が、鋭い分析を歯切れ良く語った。

 両氏は、現在の日本の対朝鮮報道は、真実を伝えるという本来の社会的任務を忘れ、政財界という権力に寄り添い、わい曲・誇張が激しさを増していると指摘し、「その最大の犠牲者が朝鮮。他国の軍事的脅威は『脅威』と言わず、朝鮮には何かと『脅威』を持ち出す。これを変と思わないマスコミの姿勢が問題だ」(渡辺氏)、「朝鮮への根強い差別・排外意識を集約的に表したのが、今の朝鮮報道だ。その発端である植民地支配の謝罪をしないことには本質的に何も変わらない。国交正常化が、日本が外交において真に自立する機会になる」(北川氏)と述べた。

 参加者からも、南北と朝米の関係改善に照らした、朝・日の遅れに対する手厳しい意見が相次いだ。

 北海道日朝連帯道民会議の小納谷幸一郎会長は「朝鮮半島情勢はもう後戻りしないし、統一への流れを阻むこともできない。南北の首脳が会い、いずれ朝米の首脳も会うことになろう。日本はこの現実から目をそらさず、しっかりと見つめるべき」と語った。

 このほか、「政治レベルと同時に、訪朝やコメ支援といった民間レベルの運動も大事。ところが、日本では政府が民間外交の足を引っ張っている。統一への道を逆走することはしないでほしい」(日朝友好岡山県民フォーラムの今井広太郎事務局長)、「市民の団結で、朝鮮の統一を阻む悪しき流れは打ち消せる。私も一市民として、隣国の平和と統一に貢献できれば」(京都府から参加した北川照瑩さん)など、今後の統一支持・日朝連帯運動への熱意も表明された。 (柳成根記者)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事