BOOK

民衆・女性から見た朝鮮戦争

編集復刻版 国連軍の犯罪
(不二出版、3000円+税)


 本書は朝鮮戦争のさなかに戦場を視察・調査した3つの国際NGOの報告書を一挙に集成した資料である。

 3つの報告書とは、国際民主法律家協会調査団報告、国際科学委員会報告、国際婦人調査団報告。

 戦火の最中、日本でも翻訳され、公刊されている。法律家、科学者、女性の専門家団体がそれぞれの視点から朝鮮民衆の受けた過酷な体験をつぶさに調査した報告書を読めば、戦争後も隠ぺいされてきた「国連軍の犯罪」の実態を理解することができよう。しかし、戦争からすでに半世紀。同報告書2二書は絶版になっており、所蔵する図書館も少ない。今では専門家すら手にすることは難しいと言われてきた。

 本書は埋もれてきたこれらの資料を広く人々に知らせたいという趣旨で編集・復刻されたものである。

 「国連軍の犯罪」を明らかにするうえで本書の刊行の意味は大きい。朝鮮の解放から55年の今年、歴史的な南北首脳会談が開かれ、民族の和解と統一の機運は劇的に高まった。

 南朝鮮ではこんにち、朝鮮戦争下での米軍の犯罪が、駐「韓」米軍に対する批判と結合し、米軍による民間人虐殺の真相究明、米国の国家賠償・駐「韓」米軍の撤収を要求する声が高まっている。米軍の犯罪の犠牲者らにとって朝鮮戦争下の米軍犯罪は、遠い過去の悪夢ではなく、今そこにある最大の苦痛以外のなにものでもないのだ。

 隠ぺいされ、わい曲されてきた戦争犯罪の真相を究明し、裁かれずにすまされてきた罪を罪として告発する取り組みは、平和と人権が尊重される世界を築くための前提条件をつくりだすだろう。

 本書は民衆・女性の視点からアジア駐留米軍の存在の意味を鋭く問う。

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