春・夏・秋・冬

 森首相の「ら致日本人の第3国発見」発言で揺れに揺れる日本政界。「政治哲学の欠如がもたらした所産」とは、全国紙中堅記者の解説。そんな高次元のものなのかと、首をひねってしまう

▼その一方で、朝・日国交正常化には「ら致疑惑」解明が前提であるという認識をさらに広め、米国務長官訪朝やEU各国の国交樹立の動きにうろたえるな、という計算された世論向けの発言では、という声も

▼この案が語られたという97年の森訪朝団を平壌で取材したが、その時、朝鮮側は訪朝団メンバーの「ら致疑惑」発言を「われわれには関係ない話」と一蹴。その主張を論破しながら、どの国にも存在する行方不明者の捜索ならば、人道的観点から協力できる、と合意に盛り込まれた

▼メンバーの一員だった、当時「ら致議連」会長の中山・自民党衆院議員は以降、「ら致」を行方不明者として呼称するようになり、今日では「ら致疑惑」というなら朝鮮側が求めるように、その証拠を提示すべきだと指摘する

▼「ら致疑惑」の代表的存在として語られる「横田めぐみ」事件。その唯一の証拠は周知のように、「北からの亡命者・安明進」の「証言」。しかし「少女ら致」を、「平壌の工作養成機関の教官から聞いた」「機関で直接、見た」、動機は「姿をみられたから」「子供が可愛かったので」と発言するたびに異なる

▼こんなものが証拠になるはずもなく、だから「韓国につかまった工作員は何を言うか分からない」(97年10月、外務省幹部)という見方が今も語られているのだ。(彦)

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