大阪で初開催「焼肉店経営集中講座」
本場での試食・批評
「勝ち組のスタイル学んだ」
焼肉店が集中する大阪・鶴橋
の町を見て回る受講者ら
大阪で17・18の両日、催された「2000年度朝鮮料理(焼肉)店経営集中講座」(主催=在日本朝鮮人商工連合会・同胞飲食業者協議会)。4回目の今年は、東京と大阪での分散開催で注目を集めたとあって、定員を大きく超える70余人の同胞焼肉店経営者が集まった。経営のノウハウを学び、朝鮮食文化の根付く「くいだおれの街」を歩いた参加者からは「環境は厳しいが、やる気を持てた」「だめでも、やるしかない」と前向きな言葉が多く聞かれた。
講義に興味津々 「大阪は焼肉文化の発祥の地。原点に返る意味でも、ここで講座が開かれるのは良いことですよね」。福井県で「炭火館」を営む鄭昌守さんは、こう話した。 主催者側の意図としては、焼肉文化が長く根付いてきた大阪の姿を見て、実際に舌でも味わうことで、参加者に経営のヒントを何かつかんでほしい、明日の経営への活力にしてほしいとの思いがあった。 講座の内容は、経営セミナーと繁盛店での試食・ディスカッション。経営コンサルタントの清水均氏が、朝鮮料理店が不況下で業績を伸ばす秘訣、東條伸一氏が、従業員教育をはじめとする接客術を、参加者に明快に伝えた。セミナーを聞く目はまさに真剣そのもの。 一心不乱にメモを取る。毎年参加している同胞にとっては、講師陣の顔ぶれも変わらず聞き慣れた話と言えるが、ユーモアも交えた講師の話には聞き入る姿が目に付いた。なかでも、「8切れ930円の品を4切れ480円で出すと、売上が倍以上に伸びる」といった具体的な値付けのテクニック(清水氏)や、接客マナーの重要性と従業員教育法を語った(東條氏)あたりでは、「そうそう」とうなずく姿が目立った。
多様化する現実 「女性を中心に若者には人気が出るだろうが、焼肉店としての魅力は感じなかった」(長野県「春の華」の厳学徹さん)のが大半の意見だったが、「儲かっているのは事実。客層の棲み分けはできているのだから、これも1つのニーズと捉えるべきでは」(東京都「コリヤンハウス・陽」の尹陽太さん)と、多様化する現実を見据えたコンセプト作りを評価する向きも見られた。 主催者側はなぜ、見学会にあえてこのような店を選んだのか。客層や業態はともあれ、そのコンセプトが同胞焼肉店に「脅威」になり得る店だからだと、参加者は肌で感じたようだ。「(見学した店は)『勝ち組』と『負け組』が明確な『焼肉戦争』において、従来のコリアンスタイルとは完全に一線を画すスタイル(神奈川県「心天」の権鎬成さん)なだけに、対立する「勝ち組」の経営スタイルを学ぶ良い機会になったようだ。 福岡・小倉で家族連れを主客層にした焼肉店の開店準備を進める姜裕治さんは、初参加の今講座で開店に向けての確かな手ごたえをつかんだようだ。 「不況下で、ゼロからのスタート。まったくプランの定まらない状態で参加したが、目配りや接客など、顧客第一の姿勢を学び、目からうろこが落ちた。がぜん、やる気が出たし、むしろ『やらなあかん』という気持ちで一杯です」 また、福井の鄭さんも、「こういう集まりで学ぶことは、焼肉業界という現在厳しい業界で、次の一手を打つきっかけになる。1・2世が築き上げた同胞焼肉文化という財産を、私たち3世がつぶすわけにはいかない」と力説する。 正直、大阪であえて開講した成果については、初の試みとあって暗中模索の感は否めない。若干の不手際もあったろう。ただ、参加者一人ひとりの話を聞いて、「同胞の街」大阪からパワーをもらったと答えが返ってきた事実だけ見ても、成果は大きいと言えるようだ。「第2ラウンド」は来月、東京で行われる。参加者は早くも「次」に向けて意欲満々だ。(柳成根記者) |