強盛大国 金正日プラン−3−
経 済
現実主義・実用的発想で
2002年までの目標示す
多少なりとも展望 朝鮮の経済的苦境は、大水害が起き、食糧確保に困難をきたした95年から始まったと言える。労働新聞などの表現を借りると、96〜97年は「苦難の行軍」をスローガンに文字通り苦難をしのぎ、98〜99年は「強盛大国」を新たなスローガンに、経済再建を準備するための「強行軍」を歩んだ。 98年9月に開かれた最高人民会議第10期第1回会議では、金正日総書記が国家のトップの地位である国防委員長に就任し、憲法を改正して国家機構も一部改変するなど、国家体制の整備が図られた。経済部門と関連しては最高人民会議の直後、2002年の総書記誕生60周年を目標に経済の立て直しを図り、「この間に到達すべき目標を明確に指摘した」内閣決定が採択された(民主朝鮮98年10月17日付)。つまり朝鮮はこの時から、2002年に強盛大国を建設するというタイムスケジュールに沿って走り始めたのだ。 それから1年余が過ぎた今年の元旦。国の1年間の指針となる労働新聞など3紙の共同社説は、昨年を「強盛大国建設において偉大な転換が起きた歴史的な年」「強盛大国建設の土台を構築した」と振り返り、「強行軍」の終結を宣言した。さらに、今年の課題として強盛大国建設で飛躍をもたらすため、経済建設に大きな力を注ぐことを強調した。 そのトーンは、「生産の正常化」や「人民生活の安定」をうたった昨年とは大きく違う。95年以来、食糧支援を続けてきた国連各機関などが「最悪の事態は脱した」と一致して指摘するように、多少なりとも展望が見えてきたとの判断があるからだろう。 エネルギーに全力 電力と関連しては、10月10日の朝鮮労働党創建55周年に際し、数年来工事を進めてきた大規模水力発電所である安辺青年発電所(江原道)、泰川水力発電所(平安北道)が完成したのをはじめ、全国的には中小型発電所の建設が盛んだ。また石炭増産のためには、埋蔵量が豊富で将来性のある順川、北倉の両炭鉱(共に平安北道)をはじめ西・北部地区の炭鉱に投資を集中させている。 現在、強盛大国を目指し経済再建の柱となっているのが「金正日総書記の革命的経済政策」である。その正確な定義は明らかにされいてないが、報道などを総合すると◇実利の徹底◇軽工業の専門化◇経済的打算の優先◇節約と質の向上――など、経済活動を行っていくうえでの指針、方法論的な内容だ。 最重要課題であるエネルギー問題はもちろん、こうした「実利」重視の発想はあらゆる問題解決のために欠かせない。 またこれらはすべて、社会主義システムを取る朝鮮が立ち遅れていると指摘される部分で、これを「金正日総書記の経済政策」として徹底させようとしていること自体、十分世界を意識した経済再建を図っている証しでもある。 このような経済における現実主義的、実用的な発想は、98年9月に改正された新憲法にすでに反映されている。個人所有の制限緩和、経済運営における原価・価格・収益性などの概念の重視、特別経済地区の明記などがその具体的な内容だ。(韓東賢記者) |