取材ノート
ブライダルと「民族心」
8月末に東京都内で開かれた「コリアンブライダルフェア」を取材した。民族の伝統が色濃く表れるといえば、思い浮かぶのが冠婚葬祭。中でも、民族を「守る」という意味合いで最たるものが「婚礼」ではないだろうか。
会場の熱気。平日とあって、どれくらい人が来るのか測りかねていたが、集まった同胞は1100人を超え、関心の高さを示した。 オモニ(母)と娘という組み合わせが目に付いた。「婚礼衣装のチマ・チョゴリを初めて見た。自分は絶対に、これを着て朝鮮式の結婚式を挙げようと思った」という、10代の女性がいた。思わず、ほっとする。 この日、出店した同胞の店舗では、「同胞向けの特別価格を設けることも考えないと」という意見が上がった。朝鮮乾物店を営む同胞は、ブースを出した理由を「単なるビジネスではなく、民族文化を守る立場から、同胞に最良の商品とサービスを提供したい」と語る。本当に頭が下がる思いだ。 在日同胞が日本という「異国の地」で、朝鮮民族固有の文化を守っていくのは大変なことである。言葉しかり、食文化しかり。同胞社会でも世代交代が進み、今や、両親が日本で生まれ育った3世、4世、5世の時代だ。かくいう記者も3世だが、この数ヵ月間、民族文化をテーマにした取材が相次いだためか、民族の「魂」を受け継いでいく大切さを痛感している。 本紙が発行される18日には大阪で、在日本朝鮮人商工連合会と同胞飲食業者協議会の主催による「朝鮮料理(焼肉)店経営集中講座」が開かれる。焼肉もまた、多くの同胞が今も変わらず守る、朝鮮の大事な食文化。同講座には毎年、定員を大幅に超える申し込みが殺到しているという。(柳成根記者) |