グローバル新風

オイルショック再び?


 人類の主要なエネルギー源である石油は、その重要さゆえに度々、国際摩擦の種になってきた。今、またもや石油を巡る動きがあわただしい。

  問題になっているのは、価格の急上昇だ。

 国際石油価格は、つい2、3年前まで低水準で推移していた。しかし、収入減にあえいでいた中東などの産油国は、自らのカルテルであるOPEC(石油輸出国機構)の決定として減産に転じ、供給のしぼり込みによる価格引き上げを企図。この狙いがはまったのか、原油価格はみるみる上昇した。

 指標となるニューヨーク原油先物相場を見ると、1998年には1バレル=10ドル台前半で推移していたのが、先月20日にはなんと37ドルに跳ね上がった。これは湾岸戦争時の水準であり、平時としては相当な高水準と言われる。

 その結果産油国の懐は暖まり、昨年度はほとんどの産油国が、石油収入増を起爆剤に経済成長率を伸ばした。

 しかし、これで買い手の消費国側が面白いはずがない。

 ヨーロッパなどではガソリンスタンドに行列ができ、価格上昇に反対する運転手や農民によるデモが大々的に行われるなど、ちょっとした「オイルショック」の様相を呈している。

 「車社会」と言われる米国でも、高騰するガソリン価格への国民の不満は強く、政府の対応が大統領選挙の主要な争点に浮上するほどだ。

 日本では、国内の激しい値下げ販売競争を背景に小売価格への影響はまだ少ないが、石油業界の「努力」も限界に達しており、ガソリンや灯油価格の上昇が本格化するのも時間の問題のようである。
(李達英=朝・日輸出入商社)

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