BOOK

野放し 米軍の「犯罪天国」


 「わたしたちの守る国土が/外国兵士の軍靴に踏みにじられるなら/母さん、いっそのこと私は/踏まれても踏まれても起き上がる麦畑でありたい/やみくもに飛び交う砲弾に折れることなく/南と北が口ずさむ柳の草笛でありたい/私たちの歩む道が/外国兵士の軍靴に踏み荒らされるなら/母さん、いっそのこと私は/3年続きの日照りにも枯れない青々とした草でありたい…(略)」(金南柱作)

 この冊子の巻頭詩には、米軍に踏みにじられた祖国への強烈な思いと米軍撤退への固い決意が綴られている。

 南北分断の元凶である南朝鮮駐留米軍の名目は、「北の脅威」から南を保護するというものであった。しかし、それは当初から名ばかりのもので、南朝鮮民衆の払った犠牲はあまりにも大きかった。

 米軍基地村で絶え間なく発生する残虐な殺人事件と犯罪。そして女性に対する性犯罪は、米軍駐屯以来10万件をはるかに超えるといわれている。しかも、「韓米行政協定」(SOFA)という不平等な条約により殺人罪など重犯罪を処罰できない南は、まさに米軍の「犯罪天国」のありさま。

 それだけではない。米軍基地から不法に垂れ流される汚水などによる環境汚染問題も深刻である。最近では上水道源である漢江に有毒物を放流した事実が暴露され、新たな社会問題として浮上している。

 本資料集には、南朝鮮駐留米軍の犯罪事例(1992〜98年)の詳細など米軍による恐るべき犯罪の実態があますところなく告発されている。

 さらにもう1つの特徴は、南朝鮮における米軍犯罪への強い怒りと沖縄における反米軍基地闘争との強い連帯意識が冊子に込められた点である。

 過去の日本軍による「性奴隷」犯罪、それを引き継いだ世界各地の紛争地や米軍基地における女性への暴力と軍事文化。これらを根絶させずには、朝鮮半島の平和も東アジアの平和もあり得ない。統一と平和を希求する強い願いがこの冊子に結実した。

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事