伝統的な10月の習俗

家内の無事安泰を祈願


 秋の習俗の中で10月は、様々な穀物の結実や収穫をみる大切な季節であり、それを天に捧げる祭俗が集中する月でもある。これは、古くは高句麗から始まり、「十月祭天」の伝統として、どの地方においても大なり小なり守られてきた。

 ●上月(サンダ

 昔から10月は「サンダ」といって、その文字通り、太陽が天空で最も高い月である。どの地方でも「天の神」をはじめ種々の神々を祭ったり、時には巫女(みこ)を招き、秋餅や果物を供えて家内の無事安泰を祈願(これを告祀、お祓い〈コサ〉という)する祭天儀式を行ってきた。中でも、3日を「開天節」と呼び、建国神話において、檀君が天門を開いて人間社会の俗界に君臨した日と定めてきた。

 ●馬日(マ
 10月の最初の「午日(うまのひ)」を「マ」と呼んで、馬を大事にせねばならないと、教えられてきた。昔、馬は単に農耕に従事する労働力としてだけではなく、山村や漁村でも、荷役の運搬や旅行にも欠かせない貴重な交通手段でもあった。ゆえに、人々はきゅう舎の前に小豆で作った「甑餅(シルトック)」を並べて「お祓い(コサ)」をし、馬の健康を祈ったのだ。

 ●城主祭(ソンジュクッ)
 「午の日」にちなんだ民間行事の1つ。昔、人々はわざわざ「午の日」のご利益にあやかってこの日を選んだり、あるいは適当な大安吉日を選んで祭祀を行ってきた。「城主」とは、つまり祖先の墓が安置されているその土地の「長」という意味で、「祖先の守護神」を指す。昔からどの地方でも、各家庭で、その年に収穫した新米で甑餅や酒を作り、果物を供えて「城主神」(1名、「成造神」ともいう)を祀る。

 ●時祭(シヂェ)
 「シチェ」は元来、毎年四季に沿って、陰暦の2、5、8、10の各月に、祖先の祀堂(サダン)で行う祭祀(チェサ)のことである。同様に、陰暦の10月に5代以上の祖先の墓所でとり行う祭祀のことをも指して言う。

 昔、時祀のときは、各派の親族一同が墓前に集まり、集団的に祭祀をとり行い、親族の結束を保った。経済的に余裕のある家は、秋の収穫の一部を祭費に充てたり、なかには、墓の近くに家を建てて、祖先を見守ったと言う。

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