開講から一年半/香川初の土曜児童教室

ウリマル学び民族を培う

弟、妹にも影響
成長に目を細める父母


遠距離通学、寮生活…揺れるウリハッキョへの編入

 日本学校に通う同胞子女たちにウリマルを、と朝青県本部が運営する香川初の土曜児童教室が、昨年5月から運営されている。日本学校に通う同胞子女たちに母国語を教えるのが目的。県内には朝鮮学校がないため、同胞の子供たちが朝鮮学校に通うには、基本的に@四国朝鮮初中級学校(愛媛・松山市)の寄宿舎に入るA岡山朝鮮初中級学校(倉敷市)に遠距離通学するか、同校の「ピンナラ寮」に入る――という、方法しかない。そのため、親としては朝鮮学校に通わせたくてもなかなか決心がつかないのが現状だ。しかし、同教室の開講を機に、受講生の保護者の間で、子供を朝鮮学校に入れるかどうかの熱い論議が交わされるようになった。

少しずつ面白み

 児童教室は、日本学校が休日の第1、3土曜日を利用し、午後1時から1時間、高松市の商工会館講堂で開かれている。現在は、同市内を中心に、幼稚園年長の6歳から中学1年生まで、11人が通っている。地域で日本学校に通う同胞子女の約20%に相当する数だ。講師は、朝鮮学校を卒業した商工会と朝銀の男性職員3人が務める。

 開講から1年半経った現在、子供たちは、比較的やさしい単語の読み書き、簡単な会話ができるまでに成長した。

 当初、受講生のほとんどが、初めてふれる朝鮮の文化にとまどいを見せていたようだが、講師の熱意が伝わったのか、少しずつ朝鮮民族について学ぶ面白みを感じるようになったという。

 金賢登くん(小3)は、「アボジの国の言葉を勉強したい」と昨年暮れから通い始めた。

 父親の金吉東さん(35)は、「私は民族教育を1度も受けてないし、ウリマルもほとんど分からない。だから、息子が母国語を少しでも話せるようになったことが嬉しい。賢登が家でウリマルを使うと、弟や妹もすぐ覚えてしまう。いい影響を与えている。通わせてよかった」と語る。

「誇りを持って」

 教室に子供を送る親の側には、日本学校に通わせているものの、子供たちに「朝鮮人としての誇り」を持たせたいとの熱い思いがある。

 かといって、子供を朝鮮学校に入れる決心はなかなかつかない。遠距離通学で寮に入らなければならないうえに、お金の問題も重なるからだ。

 香川からは現在、2人(中3)の子供が岡山初中に通学し、1人(中2)が「ピンナラ寮」で生活しているが、通学の所要時間は往復4時間もかかる。高松駅まで父母らに車で送ってもらい、JR瀬戸大橋線に乗って学校へ向う。

 児童教室に子供を送っている親のほとんどが朝鮮学校を卒業し、いずれかが寄宿舎生活を送った経験の持ち主であることから、親元を離れる子供の寂しさは12分に理解できる。

 「寄宿舎に入った直後は、家が恋しく、洗濯や身の周りのことも全て自分でしなければならないから本当につらかった」

 日本学校から四国初中・初級部6年に編入した李訓代さん(38)は当時を振り返る。それでも、チョソンサラム(朝鮮人)として生きていってほしいから、子供はウリハッキョで学ばせたい、と心は揺れる。

 そんな李さんは現在、小1、小5、中1の子供たちを同教室に通わせている。

 「まずは、教室で同じ同胞のトンムをたくさんつくり、民族について楽しく学びながら、ウリハッキョへの編入を自らが選択してくれれば」(李さん)。

 香川県出身で、大学から民族教育をうけた講師の梁光秀さん(28)は、「教室の子供たちもいずれはウリハッキョに通って、僕と同じように朝鮮人としての自覚に目覚めてくれたら」と語っていた。(李賢順記者)

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