取材ノート

共同宣言が生んだチャンス


 9月初め、東京で開かれたシンポジウム「南北首脳会談後の朝鮮半島」(主催=日朝国交促進国民協会)で、南北最高位級会談時に金大中大統領に随行したリ・ジョンソ世宗研究所南北関係研究室長をはじめ、南から3人の研究者が来日し、意欲的に発言した。

 そのなかで、日本人学者から最高位級会談の実現によって「北の脅威は減少したのか」という問題提起がされた。これに対して、李研究室長が、「日本は常に朝鮮の脅威を問題にするが、朝鮮側も日本を脅威に感じていることを念頭に置くべきだ」と一喝し、お互いが脅威をなくすために努力すべきだと指摘した。

 日本人学者やマスコミが予想だにしなかった、南北が分断を克服する作業は始まったばかりだ。ゆえに、現在の展開、さらには北側の政策や立場を正確に説明する研究者がいなかったことは、建設的な論議を目指したシンポの目的からして、非常に残念だった。今後は朝鮮から学者を招けるようにしたいとの、結びに胸をなで下ろしたが…。

 南の研究者は、南北共同宣言をバックアップするため、日本は1日も早く朝鮮との国交を樹立すべきだと異口同音に語っていた。徐東晩・外交安保研究院教授は、「朝・日国交を通じて過去の植民地支配の謝罪、補償、在日朝鮮人問題が解決されるべきだ」と、日本側に強く実行を促していた。

 最近、取材先で南の記者に会う機会が増えた。「新しい歴史教科書をつくる会」が文部省に検定申請している偏向教科書を非難する記者会見など、日本の植民地支配の責任を問う一連の場が多い。シンポで南の研究者は、「朝鮮新報をよく見る」と話していたが、日本で南北が手を取りあう機会が増えたことを実感する。(張慧純記者)

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