中小企業にも情報化の波
APSサービス/ソフトの期間貸しが始動
本格システムを低コスト運用
インターネット経済の本命、企業間電子商取引の本格化を見据え、企業に業務用ソフトウエアを必要な期間だけ貸し出すASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)事業が、日本でも動き出した。これを利用すれば、中小企業も情報化のための投資負担を軽減できることから、電子商取引の普及に弾みをつけるものと期待されている。
(金賢記者、関連記事)
ASPは、情報サービス会社が自社のサーバーに蓄積した会計処理、人事管理などの業務用ソフトを、インターネットを通じて顧客企業に貸与するというもの。98年ごろに米国で登場した。2001年には世界で2兆円、日本でも3000億円の市場規模になると予測されている。
ASPの特徴は、企業が独自に情報システムを構築したり、購入する場合に比べて初期投資を大幅に抑えられることだ。情報システムの管理もサービス会社まかせなので専門要員を確保する必要がなく、最新ソフトへの更新も容易だ。
企業間電子商取引(注)は、資材を低コストで調達できたり、販路拡張や事業展開をすばやく行えるなどのメリットがある。情報技術の重要性に気付いた中小企業を中心に、ASPの利用が広がるのは必至だ。ASPの推進団体、ASPICジャパンの田中正利専務理事は、20日に東京で行われた企業向けセミナーで、「いずれはあらゆる事業に浸透し、企業文化の1つになるだろう」と話した。
日本でのASP普及をにらんで米国の情報サービス企業は早くから動いており、富士通やNTTデータなど、日本の大手企業も相次いで参入している。
(注)通産省の推計によると、企業間電子商取引は98年の市場規模が8兆6200億円で、同じ時期の企業―消費者間電子商取引の650億円を大きく上回っている。2003年には企業間は68兆4000億円で、企業―消費者間の20倍以上の規模を持つと予測(通産省)されている。
同胞ベンチャーも参入/1部上場企業と提携
四日市・シーズコーポレーション、月額5000〜1万円で
四日市市の有限会社シーズコーポレーション(辛根成・代表取締役社長)は、4月からASPサービスを開始。同時に、株式会社に移行する。
サービス名は「Web Appli(ウェブ・アプリ)」で、10数社の1部上場企業と業務提携。一般市場で発売されているワープロソフトや表計算ソフトをはじめ、財務会計・販売・仕入れ・在庫・給与管理、申告および就業管理まで、一般企業や特定業種(税理士など)向けのサービスを行う。
また教育機関向けに、文部省の教育課程に準じた教育関連ソフトをパッケージ化。低価格に抑え、学校内だけでなく家庭でも利用できるようにする。
辛社長は、「料金は基本パッケージを月額5000円から最高1万円程度に設定する予定。同胞企業の積極的な利用を期待したい」と話している。
※同社ホームページ=http://www.czinc.co.jp