2000年-業界を展望/
遊技業、なお続く構造的不況
体質・戦略の差で明暗


市場縮小

 98年の余暇市場の規模は、80兆1070億円。前年の82兆8310円から2.9%減少し、3年連続のマイナスとなった。同じ時期の国民総支出と民間最終消費支出が、それぞれ2.3%、0.7%のマイナスだったのと比べると、余暇市場の縮小幅が大きいことが分かる。

 その中にあって、パチンコ市場も98年の貸玉料が20兆9600億円で前年より4.1%縮小。参加人口も320万人減って2030万人になった。

 これと軌をともにして、店舗数も減少が続いている。昨年の倒産件数は、127件を記録した97年、90件の98年に比べるとやや減っていると予想されるが、不振がここまで続くと事態は極めて深刻だと言わざるを得ない。

 金融機関の貸し渋りや規制緩和による競争激化、業界を活性化し得ない新基準機など、業界の内外にあるマイナス要素が重なり、構造的な不況サイクルを作り出しているようだ。

パチスロ成長

 業界が全体としてマイナス傾向にあるなかでも、パチスロ市場は拡大を続けている。

 93年度に853億6200万円だったパチスロ機市場は、97年までに約1900億円に拡大した。設置台数も98年末で100万台強に乗せており、パチスロ専門店も増加している。

 高い成長の背景には、パチスロ機自体の性能の向上とともに、規制強化によってパチンコ機から離れた客の受け皿になったことがあるらしい。

 パチスロ市場の成長は今後も続くと予想される。ただし昨年、一部のメーカーで発覚した不正改造機問題の波紋などについては、慎重に動向を見守るべきだ。

大手が伸張

 今年も、余暇市場は全体として縮小が予想される。

 生き残るには、消費者の価値観の変化と低価格志向に対応した新しい企画を提案していく必要がある。そのためには、常に新鮮なアイデアを生み出す力と、それを具体化する企画力と行動力が求められる。消費者とのコミュニケーションも、必須条件と言える。

 パチンコ業界において「勝ち組」に入るか「負け組」に入るかは、構造的な不況に引きずられない強い企業体質を備えられるかどうか、明確な戦略を持てるかどうかにかかっている。

 とくに明確な経営戦略の構築は、経営者をはじめ人材の質に関わる問題でもあり、大手企業の方が有利な観がある。事実、店舗数が減少を続けるなかでも、500台以上の店舗はわずかだが増えている。98年から99年にかけて積極的に出店してきたのは、比較的知名度が高く、チェーンストア理論などの経営戦略および戦術を備えた企業だ。

 中小規模店では、同胞業者のネットワーク形成などに、活路を探る必要があると言える。(商工連「新春経済講演資料」を要約)