BOOK/新刊から


 ☆「『在日』という生き方」差異と平等のジレンマ(朴一著)

 「生き方」という視点から、これまで同胞が総体として、個人として日本でどのように生き、また現在、どう生きているのかを、様々なデータと資料を駆使して、在日同胞の多様な世界を描いている。中でも、力道山、孫正義たちの人生を通し、「祖国」や「民族」の意味を問い、日本社会の「内なる国際化」をも検証する。(1600円+税、講談社選書メチエ)

 ☆「アイデンティティ・ポリティクスを超えて」在日朝鮮人のエスニシティ(金泰泳著)

 教育社会学的なアプローチで、在日同胞が直面しているアイデンティティの問題について考え、「民族」「共生」「在日論」などの意味を問いかけた書。在日3世である著者は、大阪高槻市の若き世代たちのインタビューをもとに民族的アイデンティティと、その超克の可能性を模索している。(1900円+税、世界思想社)

 ☆ブックレット「ナヌムの家を訪ねて」(同志社大学浅野健一ゼミ〔編著〕)

 1998年9月23日から28日まで、当時の浅野健一ゼミの3回生らが合宿として南朝鮮を訪問し、日本の植民地支配の痕跡や日本軍の性奴隷にされたハルモニたちが住むナヌムの家などを訪ねて感じたことを対談、座談会形式でまとめたもの。そこで学生たちは、正しい歴史認識を持つことが何よりも重要だと訴えている。(850円+税、現代人文社)

 ☆「二つのウリナラ」 21世紀の子どもたちへ 池田正枝(聞き手=川瀬俊治)

 本書は、植民地支配下朝鮮で教鞭を取っていた女性が、朝鮮人の教え子を扇動し、女子勤労挺身隊に駆り出した経験などをつづった半生記である。

 その中で、あらためて日本の戦争責任、現在の日朝関係を考え、21世紀を生きていく子どもたちに決して自分の体験を繰り返してはならないという切実な思いを伝えている。(1800円+税、解放出版社)


「本のプレゼント」当選者

 抽選の結果、「破壊工作」(野田峯雄著)の当選者は次のとおり。

 東京都荒川区の李仁志さん(38歳)、福島県郡山市の沈恵順さん(22歳)、岐阜県岐阜市の李長浩さん(28歳)、大阪市平野区の申結花さん(37歳)、京都市伏見区の張將美さん(43歳)。