今年登場の新制度・新製品
介護保険制度 4月/行政のケア繁要
無年金同胞に負担厳しく−保険料困難、言葉の壁も
介護保険は、在日外国人を含め40歳以上のすべての人が保険料を納め、寝たきりや痴ほうなど要介護状態になった時に介護サービスを受けられるというものだ。
保険料の納付については、65歳以上の保険料の徴収を半年間は見合わせる。
その後の1年間は半額とすることや、40歳から64歳の人については健康保険組合や国民健康保険を対象に国が1年分を財政支援することなどが決まっている。
ところが、同胞高齢者の場合は、無年金状態という、年金制度そのものにおいて差別を受けている現状にある。
介護サービス時の1割負担はおろか、半年後の半額負担すらできない人も、なかには少なくない。
65歳以上の人の保険料は年金から天引きされるが、年金の給付額が少ない人などは徴収員が回収に回る。無年金状態で生活が困窮する同胞にとって、この負担は決して軽くはない。
こうした特有の事情を日本政府が考慮し、十分なケア対策を講じているのか、疑問が残る。
また、日本語が不自由な同胞高齢者の前には、制度に対する説明や要介護認定の際、言葉の壁が立ちはだかる。
現在、1世を中心とした同胞高齢者の果たして何%が、介護保険によるサービスを在日朝鮮人が受けられることを理解しているだろうか。
こうしたコミュニケーションがしっかり確立されないまま制度が実施される運びとなれば、制度を知らない同胞は置いてきぼりを食らうことにもなりかねない。
各地の総聯組織が行政と要介護者との橋渡しをしっかりとし、こうした事態を防ぐことが必要だろう。
地方分権一括法
4月/働きかけがカギ
自治体独自の条例可能−教育権改善への期待大
地方自治体の権限強化策を盛り込んだ「地方分権一括法」が、4月から施行される。自治体が街づくりや教育・福祉などの分野で独自の条例・規則を作って施行することを認めるものだ。
同法の柱となるのは、自治体を国の下請け機関と見なして事務を請け負わせる「機関委任事務」の廃止。廃止後は、自治体が主体的に担う「自治事務」と、法に基づいて国が自治体に委託する「法定受諾事務」に振り分けられる。
これまでは、自治体は独自に条例を制定できず、通達によって細かな仕事まで束縛されるケースが少なくなかった。機関委任事務が廃止されることで、自治体では地域の実情に即した主体的な判断ができるようになる。
期待されるのは、各地の朝鮮学校の処遇改善。日本の学校と同等の教育助成金支給など、多くの問題が解決される糸口になり得るだけに、法施行後の自治体への働きかけはこれまで以上に重要になってくる。もちろん早急な変化を求めるのは尚早だが、「目に見えて仕事が変わる印象はない」という自治体を、どう動かせるかがカギとなる。
日本版401k
今秋/ビギナーに不安の声
個人責任で積立・投資−ハイリスクに慎重論も
日本政府が今秋にも導入を計画しているのが、確定拠出型年金という新たな年金制度。米国の同様の制度にならって、日本版401kと呼ばれるものだ。
国民年金や厚生年金など従来の企業年金は、企業が支払額をまず決め、企業が掛け金を積み立てて運用する確定給付型年金。支払額は企業が保障し、足りない分は企業が補てんすることとなる。
これに対して確定拠出型年金は、加入者本人が掛け金を積み立てて、株式や投資信託など好みの金融商品に投資、その運用結果で企業の支払額が変わる。個人責任が格段に増す、ハイリスク・ハイリターン型の年金である。
だが、このような投資型年金が定着するのか、不安視する声も少なくなく、導入には慎重論が根強い。
転職先に掛け金を持って行けることや、倒産の影響を受けないなどの利点がある半面、投資に失敗した場合に老後に必要な所得が確保できなくなる恐れがあり、投資に不慣れな人には不安が大きい。こうした「投資ビギナー」への十分な説明と配慮ができるかどうかが、定着のポイントと言える。
ウィンドウズ2000などニューフェイスも続々
新商品の中でも最大の注目株は、米マイクロソフト社が2月に満を持して発表するパソコンの新オペレーションシステム(OS)、ウィンドウズ2000だ。
ウィンドウズ2000は、業務ユーザー向けのウィンドウズNT4,0の後継に当たる。ウィンドウズ95/98から直接、バージョンアップが可能だ。
ウィンドウズ95/98に比べエラーが出にくいなど、OSとしての安定性が格段に増した。データを不正なアクセスから守るセキュリティー機能やバッテリー管理機能、多国語機能など細かい点が強化され、使い勝手は飛躍的に向上した。
これとは別に、個人ユーザーや初心者を意識したウィンドウズ95/98の後継、ウィンドウズミレニアムも発表される予定だ。