在日朝鮮民族楽器演奏団/ニューヨークで公演
在米同胞ら約1000人が観覧 


「素晴らしい音楽を聞いた」
「今度は米全土で公演を」

 民族楽器重奏団「ミナ」を中心とした、29人の在日の若き音楽家たちで構成された在日朝鮮民族楽器演奏団(康明姫団長)が、去る12月19日から24日まで米国を訪問し、21日にニューヨークのリンカーンセンターアリスチュリーホールで約1000人の在米同胞と米国市民の前で公演を行った。一昨年3月に初訪米した「ミナ」の民族性あふれた演奏をもう1度見たいという在米同胞たちの要請と協力によって実現した公演で、演奏団は、朝鮮の優雅な伝統音楽を披露し、観客から大喝采をうけた。また、公演の前日には、在米同胞たちによる歓迎宴会が開かれ、参加した150余人が共に手をつないで「我らの願い」を合唱した。

優雅な伝統音楽を披露/  

「1つの民族を確認」             

 公演には、ニューヨーク州のジョージ・E・パタキ知事、ニューヨーク市マンハッタン行政区のC・バージニア・フィールズ区長から祝賀メッセージが寄せられた。また、地元のテレビが公演開催のニュースを放映するなど、高い関心を集めた。

 在米同胞全国連合会(咸成國会長)をはじめとする在米同胞たちとニューヨーク市民たち、そして演奏団の訪米公演を支援するために駆け付けて来た30人の在日同胞参観団のメンバーらが観覧した。

   公演では、合奏「龍江キナリ」に続いてタンソ(縦笛)独奏「砦の春」(李守信)、チョッテ(横笛)協奏曲「怒涛」(李在洙)、民謡独唱、カヤグム独奏(朴順雅)、さらに独舞「歓喜」(孫賢淑)が披露され、観客たちは朝鮮の調べを楽しんだ。

 最後の曲「トゥレノリ」を力強く合奏した演奏団に観客たちは、立ちながら拍手を送り、「アンコール」を求めた。

 演奏団は、それに応えて民族情緒が込められた民謡「アリラン」、「ヤンサンド」を披露し、在米同胞らと共に遠く祖国を離れ、住む所は異なっても「1つの民族」であることを確認しあった。

涙を禁じ得なかった

 公演終了後、観客席から様々な感想が聞かれた。

 ニュージャージー州立大学の名誉教授・林淳萬氏は、「在日の若い人たちが異国の地で民族芸術を継承発展している姿に感嘆し、涙を禁じ得なかった。1回だけの公演で帰るのが、あまりにも名残り惜しい。今度は米全土で公演してほしい」と語っていた。

 また、ニューヨークに住むシン・ヨンジュさんは、「約2時間、世界で最も素晴らしい音楽を聞いた同胞たちは喜びに満ちあふれている。本当に演奏団のみなさん、ありがとう」と述べていた。

 そのほか、「演奏が新鮮だった。2、3世たちの表情を見て、誇りに思った」(リ・ジェウォン)、「アリランを聞いて涙がとまらなかった」(50代の男性)という声も。

 ミュージシャンの米国市民も「東洋の中で、朝鮮の民族芸術が最も新鮮かつ優雅であり、奥の深い芸術だということを知った」と述べていた。

 演奏団によると、在米同胞側から新しい世代のための民族芸術学園を設立する構想があり、設立した場合には、講師として再度訪米してほしいとの要請があったという。

 

「民族教育の成果」/出演者たちの感想

 趙ソンイさん(ソヘグム演奏家、24歳)
 今回の公演は私にとって一生忘れられない宝物となる。日本で生れ育った在日2、3世が、祖国の楽器をもって、公演できたのは、祖国と民族教育があってこそと実感している。

 李在洙さん(チョッテ〔横笛〕演奏家、24歳)
 反響が思った以上に大きかったことに驚いた。これからも他の国で朝鮮の伝統音楽を披露する機会が増えるものと確信した。

 申桃月さん(民謡独唱歌手、39歳)
 民族教育の成果を世界の大きな舞台で誇示でき、また後輩たちにも夢を与えたものと自負している。この感動を忘れずにこれからも頑張っていきたい。