同胞の店/とんかつ「とん銀」(東京・銀座) 


肉のやわらかさが評判

 東京・銀座すずらん通り。銀座こまつの真裏で営業している。店主の夏健守さん(55)、弟の健竜さん(52)、健守さんの妻、金聖順さん(49)の3人で切り盛りする。調理は健竜さんが担当。「とにかく材料にこだわる」(健守さん)と言うだけあって、肉のやわらかさには定評がある。油にも気を使う。調合にコツがあるそうだが、「企業秘密」だとか。コロモが少なめなのもうれしい。そして、もう1つの魅力は「下町価格」と言われる値段の安さである。

 テレビや雑誌にも紹介されたので、全国的にも有名。福岡からわざわざ来た人もいたほどだ。東京・永田町に住む92歳の男性は月に2、3回はやってくる。他では絶対に食べないという。こじんまりした店にもかかわらず、日に100人ほどの客でにぎわう。昼時はサラリーマン、夜はアベックが多いという。

 開店からすでに27年。今や銀座で知らぬ人はいないが、創業当時は苦労も多かったそうだ。店の周りには、通称「とんかつ通り」と呼ばれるほど、とんかつ屋がひしめいていたからだ。最初の3ヵ月は味を知ってもらうために、値段をうんと下げた。「味さえ知ってもらえれば、いけるという自信はあった」と健守さんは当時を振り返る。果して、その後は値段を上げても、味を知ったお客さんが離れることはなかった。

 「勝つ」につながるとんかつを食べて、今年も幸先良いスタートを切りませんか。  (聖)

 おすすめメニュー (1)ヒレかつ定食(1250円、上1550円) (2)ロースかつ定食(1150円、上1450円) (3)ヒレエビ盛合せ(1600円)※ランチ定食はヒレかつ1000円、エビフライ1000円とぐんとお得。

 営業時間 午前11時30分〜午後3時、午後5時〜10時30分。日休。東京都中央区銀座6―8―4(TEl  03・3571・2618)