展望/4月に南北対話の可能性
米クリントンの指導力?―早い時期に朝・日再開か
南北関係で注目されるのは、4月の総選挙。北が南北政治会談開催の先行実践事項として廃止を求めている「国家保安法」について金大中「大統領」は昨年12月、「北を反国家団体と規定すると金剛山観光もできず、(北と)対話するなという論理的矛盾に陥る」と述べ、保安法の改廃意思を示した。
野党の「ハンナラ党」と連立与党の自民連が反対しているというのが改廃遅延の口実だが、総選挙の結果いかんによって、金「大統領」の真意が明確になるだろう。
同時に票集めのため南朝鮮当局が選挙前に次官級会談で、これまでの相互主義を放棄する可能性もある。議題は、南側の肥料提供と離散家族問題の予備折衝。肥料は、少なくとも6月までに供給されなければならないので、4月、5月がタイムリミットになる。
北ではほぼ毎年、2月前後に政府、政党、団体連合会議が開かれ、南への提案を採択しているが、今年も開かれるものと思われる。2月に提案がなされれば、早ければ3月頃から動き出すだろう。
朝米関係では、ワシントンで予定されている高位級会談が焦点だ。
昨年、朝米は、100年来の宿敵関係から、新たな関係へと歩み寄った。現在は過渡期にあり、その開始を告げるのが朝米高位級会談と見られる。朝鮮側の出席者、議題などは明らかになっていないが、姜錫柱・外務省第1副相が有力視されており、会談後、共同声明で両国関係の現状と今後の展望が示されるといわれている。
問題は、レイムダック(死に体)化したクリントン大統領が、どれほどの指導力を発揮するかだ。朝鮮問題でひと区切りをつけるのか、ずるずると議会に押されて引退するか、専門家の間でも見方は2つに分かれている。
ただ、民主党から共和党に政権が変わっても、現在の対朝鮮政策は、多少時間のずれはあるものの、そのまま踏襲されるだろう。
朝・日会談は、1月の予備会談の後、早い時期に本会談が開かれるものと思われる。会談が難航するか早期決着するかは、日本側の出方次第。8年間中断されていたとはいえ、双方の見解は、これまでの会談で十分に伝わっている。
お互い再確認のために再開2回目までは、双方の主張を改めて表明し、本格的な交渉は、3回目以降になるだろう。妥結の時期が焦点になるが、村山元首相は昨年12月末の都内での集まりで、「2002年までに」という発言をしている。
● 今年の政治スケジュール
1月 朝・日国交正常化のための予備会談(北京)
4月 南朝鮮「国会議員」総選挙
5月 朝鮮総聯結成45周年
6月 朝鮮戦争勃発50周年、南北統一バスケット競技大会(平壌)
7月 沖縄サミット
8月 祖国解放55周年、第11回汎民族大会
10月 朝鮮労働党創建55周年
11月 米大統領選挙