「従軍慰安婦」問題「解決済み」との日本の主張、全面否定/国連人権小委が決議
ジュネーブで開かれていた第51回国連人権委員会の人権促進保護小委員会(旧差別防止・少数者保護小委員会を改称)は26日、「従軍慰安婦」問題を含む「戦時下の女性に対する暴力」を非難した決議を賛成多数で採択した。
決議では、日本政府に対して元「従軍慰安婦」らに謝罪と補償をするよう求めた、「武力紛争時における組織的強かん、性奴隷及び奴隷類似敢行」と題するゲイ・J・マグドガル特別報告者の最終報告書(昨年8月採択)を「重大な関心を持って歓迎」するとした上で、問題解決のための方途を示している。
そして、「この決議で言及されている違法行為(『慰安婦』問題を含む性奴隷制)に関して国際法で認められている国家及び個人の義務と権利は、平和条約や恩赦によって無効にすることはできない、ということを留意する」(決議13)と指摘した。
過去、国連人権委では「慰安婦」問題と関連した日本政府の法的責任を要求する報告書を歓迎する決議を採択したことはあったが、決議の内容に法的責任を求める内容を含めたのは初めてだ。
1992年から毎年、「慰安婦」問題を論議してきた国連人権委は、日本政府に対し国際法違反に伴う法的責任を追及してきたが、日本政府はこれまで、(1)国連は創設以前の問題を扱う権限がない(2)賠償問題については「サンフランシスコ講和条約(日本国との平和条約)」や2国間条約で解決済み、として法的責任を回避してきた。今回の決議採択によって、「平和条約によって解決済み」とする日本の主張が全面的に否定されたと言える。
今回の決議採択の背景には、日本政府の意向を反映して「慰安婦」問題を矮小化しようとする議員が、「日本軍『慰安婦』問題についてはこれまで十分に論議してきたので、いまや現在の性暴力事件の論議に集中するべきとき」と発言したことがある(16日)。この発言に対し、アジアをはじめとする被害国、非政府組織(NGO)から非難が続出。
「慰安婦」問題についてマグドガル特別報告者は、「日本軍の『慰安所』で奴隷となった20万人以上の被害者には何の救済もなされていない。公的賠償もなく、誰も訴追されなかった。日本政府は国際法に照らして十分な責任を果たしていない」と述べた。
朝鮮人強制連行真相調査団は「慰安婦」問題は当時の国際法及び日本の国内法に照らしても犯罪になると発言した。
「韓国挺身隊問題対策協議会」などのNGO、中国、英国、ウガンダなどの議員の間からも批判が相次いだ。これに抗弁する日本政府代表の発言はなかった。