投稿/よみがえれ!蹴児よ 金相煕(48、大阪朝高サッカー部OB)


 大阪朝高サッカー部は今年、朝高としてインターハイのサッカーに初出場。3日、岩手県雫石町で行われた初戦では、強豪帝京を相手にPK戦で敗れはしたものの、終了15秒前の「奇跡の同点劇」を演じる健闘を見せた。試合を観戦した大阪朝高サッカー部OB、金相煕さん(48、枚方市在住)の投稿を紹介する。

◇◇

 その時スタンドは何を思い何を期待して白熱のグラウンドを見ていたのか。恐らくこの試合を見つめるすべての人が、ラスト5分、ゴールキーパーが退場した時点で試合は終わったと思っただろう。

 だが、思いがけないことは起こるのだ。それが蹴球、それがラスト1分だ。ドラマは最後の最後にやってきた。

 誰の目にも敗色濃厚で、もはや勝敗は決したかに見えていた。

 しかしどうだ、驚異の同点劇! 勝ちに等しい奇跡のシュート! ゴール、ゴール、ゴール!

 うだるような猛暑の中、同胞たちはわれを忘れて抱き合う。この胸のときめきは、この涙は、心の底から込み上げてくるこれは一体何なのか。民族の血が騒ぐのか。

 最後まで必死にボールを追いかけ、自らの鋭気を信じ奇跡を演じた朝高イレブン。これぞわが民族の誇り、わが母校の伝統だ。

 不安と失望が信頼と希望に変わり、新たな目標と夢を抱かせてくれた。

 堂々と力強く、闘志あふれる気迫。奇跡は全くの奇跡ではなく、当然の結果だったのかもしれない。

 「常勝」大阪朝高イレブンへ、蹴児よ、よみがえれ。新たな目標に向かって、在日同胞代表の伝統の意地を見せろ!

 不撓不屈のわが民族の魂は消えていなかった。